NPSの日本導入事例/活用事例:当社で実行した10施策とNPSの1年間の月次推移
当社では、経営の最重要指標の1つとして、NPS(ネットプロモータースコア)を導入・モニタリングしています。
1年近くNPSのモニタリングを続け、NPSを改善させるべく、いろいろ施策を講じてきました。振り返ってみると施策の数は10を越え、いい機会ですので、NPS活用事例・導入事例としてまとめようと思います。
【当社のビジネス】
個人向けの安価な出張シェフサービスの「マイシェフ」、出張レストランサービス「マイシェフクイック」を提供しています。
■マイシェフ
シェフが "食材を調達・持参し"、"出張して調理し"、"キッチン片付け" します。1人分4,000円〜6,000円。この料金に 食材費、出張費、交通費、消費税、サービス料を含みます。出張シェフサービスです。
・マイシェフHP:https://mychef.jp/
■マイシェフクイック
レストランのコース料理をご自宅にて提供します。当社の出張スタッフが "料理持参で出張し"、"その場で料理の仕上げ"、"キッチン片付け" します。1人分4,000円〜5,000円。この料金に コース料理代、出張費、交通費、消費税、サービス料を含みます。出張レストランです。レストランが自宅にやってくるようなサービスです。
・マイシェフクイックHP:https://quick.mychef.jp/
外出・外食が難しい方(育児ママ、家族に高齢な方がいる)のご利用が過半数を占め、子供の誕生日や結婚記念日などハレの日、ママ友や友達家族の集まり・イベントごとでのご利用が多いです。
その他には、ワイン愛好家の集まり、自宅近くにレストランがないエリア、ワンコ友達、サロンの集まり、料理教室がわり?などでご利用いただいています。
ぜひ当社のHPを一度見てみてくださいね。
マイシェフクイック|東京の出張レストランサービス:https://quick.mychef.jp/
マイシェフクイック|東京の出張レストランサービス:https://quick.mychef.jp/
【NPSのモニタリング以前】
マイシェフのサービス開始以降、お客様に満足いただけるようなサービスにしようと、もちろん考えていました。ですが、事業の指標は「リピーター割合」と「認知経路:口コミ」をモニタリングしていました。
マイシェフのサービス内容に満足し、別の機会にまた使っていただきたい。リピーター割合が高まって欲しい。
マイシェフを利用して内容に満足したら、きっとママ友・友達との会話で、話題に出してくれる方もいるだろう。マイシェフの認知経路:口コミ が増えて欲しい。
【なぜNPSを経営の最重要指標の一つと扱うことにしたか】
「リピーター割合」と「認知経路:口コミ」は、昨年の今頃にはまあまあになっていました。ただ「リピーター割合」も「認知経路:口コミ」も結果指標。
その結果を生み出す元である、マイシェフのサービスの質に集中し、そして顧客が満足しているかにこだわろうと、焦点を変えました。
Airbnbのブライアンチェスキーさんも言ってます。まずは100人の人に愛されることが大事だと。1万人の人に「まあまあいいね」と思われるのではなく、100人にサービスに愛してもらえるようにと。
顧客満足度を高める、熱狂する顧客を増やす、ファンを増やす、顧客ロイヤリティを高める、色々な言い方がありますが、私が最もしっくりきたのは「まずは100人の人に愛される」サービス作り。
この為に役に立つ指標として、NPS以外に思いつきませんでした。
NPSは、けっこう以前にエンパスリンクの高見さんに教えてもらい、使える経営指標だと認識していたため、NPSをモニタリングしようと決めました。
また、NPS改善に向けた施策は、原則プロダクト・サービスの改善・進化と決めました。集客プロモーション施策やサポート、ウェブサイトなどではなく、顧客がお金を払って体験すること、つまり当社が提供するプロダクト・サービスを改善・進化させたい。
NPSのスコアが良くなることが目的ではなく、100人の人に愛してもらえるように、マイシェフのサービスの質を改善・進化させることが目的。
【NPSの目標値とアンケート設問】
NPSの目標値は60%以上と決めました。根拠はありません。他の業界がどうとか気にしません。100%にできるだけ近づけたいですが、目標としては60%。
スコア算出の計算は通常通り。zendeskさんのブログにある定義、計算の通りです。
アンケート設問は、基本の形から少しだけハードルを上げました。
すすめるか、すすめないか、に加えて「既に教えたか」を書き加えました。10点をつけるハードルを高めることを意図しました。
zendeskさんのブログには、四半期ごと、半年おきが一般的とありましたが、毎月やることにしました。半年後には当社はなくなってるかもしれませんので、、、悠長なことは言わず毎月。
また、不満に感じてしまうお客様は限りなくゼロにしたいですし、悪いところ・不満足を引き起こすことは、できるだけ迅速に、継続的に直したいので、半年とかは、ちょっと気分的に無理でした。
【NPSの活用・導入において留意したこと】
NPS活用・導入において留意したのはこれです。
NPSは目的ではなく、手段。あれこれ考えて時間をかけるのではなく、善は急げ、教科書通りの方法で収集を始めました。
また情報収集と集計作業そのものは、サービスの質向上に全く貢献せず、1円も売上も利益も生まないので、既存業務に埋め込み、努力をせずともできるようにしました。
何より大事なのは、判断&アクション。判断して、アクションする。優先度を付けて、できる施策を実行していきました。
判断とアクションにおいて、参考になった書籍はこの3つ。
■1分間顧客サービス―熱狂的ファンをつくる3つの秘訣
星野リゾートの星野社長の愛読書らしいです。20年前の名著。
■真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか
25年ほど前の書籍ですが、大変役に立ちます。
■シャオミ 爆買いを生む戦略
シャオミの「参与感」の日本語版。今の時代の企業の取り組みです。
【NPSモニタリング・活用(1〜2ヶ月目)】
NPSスコアの推移と、実行した施策です。
・2015年3月:100%
・2015年4月:86%
NPSを取り始め、困った?ことに、最初から目標を超えてしまいました。ただ常に状況は変わるため、継続してモニタリング。
【NPSモニタリング・活用(3〜4ヶ月目)】
・2015年5月:20%
・2015年6月:29%
すると、劇的に悪化。急遽、原因の調査と対応に動きました。
調べると理由は明確で、新しく増えたシェフの数値が総じて悪く、そのうち特定シェフの数値が極端に悪い。まずは目の前のその問題を直そうとしました。
■施策①:特定シェフとの個別面談。改善命令。
■施策②:顧客満足における、衛生要因トップ3、動機付け要因トップ3の特定。
■施策③:新シェフに対する、オンボードのための標準化した対応・フォロー。
施策①は、プロ料理人に対して失礼な書き方ではありますが、文字通り改善命令をしました。即改善か、無理ならすぐ辞めてもらうか。
施策②は、お客様の満足度に影響を与える要素を、改めて調査・整理し直し。その後の各施策へのインプットとなりました。
施策③は、新規登録シェフへの教育、フォロー、支援を標準化しました。優先度を付けて、衛生要因を中心に取り組みました。
【NPSモニタリング・活用(5〜6ヶ月目)】
・2015年7月:48.1%
・2015年8月:59.3%
施策①、②、③の結果は、直ぐにNPSの数値に反映されました。
サービスの質の向上のために、追加施策を講じました。
■施策④:NPS専任を採用。
■施策⑤:お客様の感想をシェフにフィードバック。
■施策⑥:メール教育。
施策④は、フルタイム社員ではありませんが、NPS専任を採用。NPS改善と維持、サービスの質の改善と維持に関する領域を担当してもらっています。
施策⑤は、満足の声、不満足のお客様の声を、継続的にシェフにフィードバック。
施策⑥は、料理人の中には仕事でメール未経験の人もいます。その底上げです。
【NPSモニタリング・活用(7〜8ヶ月目)】
・2015年9月:81%
・2015年10月:30.8%
目標の60%を越えるも、すぐ逆戻りに。ただNPS専任のおかげで、場当たり的ではなく、継続的に業務としてできる状態に。
■施策⑦:全シェフに月次NPSの数値を共有、満足点・不満足点も共有。
■施策⑧:メニュー提案期限、本日出張しますメール、のルール化とチェック。
施策⑦は、出張回数が少ないシェフは、自分へのフィードバックも少なく、改善サイクルが遅いため、そうならないよう、全体の底上げのために。
施策⑧は、メニュー提示の遅れにより、お客様を不安に感じさせてしまうことがあり、また、本当に当日シェフが来るのかと、実際来るまで不安に感じさせてしまうことがあったため、その改善。
【NPSモニタリング・活用(9ヶ月目〜現在)】
・2015年11月:61.5%
・2015年12月:77.8%
・2016年1月:85.7%
直近3ヶ月は連続して、目標のNPS60%超え。
■施策⑨:動機付け要因のシェフへのインプット。
■施策⑩:お客様のフィードバックに対する返信の変更。
施策⑨は、後回しにしていた動機付け要因アクションのインプット。顧客満足度の向上を狙います。
施策⑩は、お客様フィードバックに対する、返信の仕方を変えました。意見を伝えてくださったお客様ですから、より真摯に対応したいと思います。
【NPS改善を狙い、当社で実行した10の施策】
半年強の間に、主に10の施策を実行しました。
■施策①:特定シェフとの個別面談。改善命令。
■施策②:顧客満足における、衛生要因トップ3、動機付け要因トップ3の特定。
■施策③:新シェフに対する、オンボードのための標準化した対応・フォロー。
■施策④:NPS専任を採用。
■施策⑤:お客様の感想をシェフにフィードバック。
■施策⑥:メール教育。
■施策⑦:全シェフに月次NPSの数値を共有、満足点・不満足点も共有。
■施策⑧:メニュー提案期限、本日出張しますメール、のルール化とチェック。
■施策⑨:動機付け要因のシェフへのインプット。
■施策⑩:お客様のフィードバックに対する返信の変更。
何かすごい施策を捻り出したわけではなく、顧客のフィードバック、顧客の声、顧客の様子から、優先度付けをして、やる施策を決め、淡々と対応しました。
これ以外にも細かな施策や、書いていないもの含めても、やはりプロダクト・サービスの改善に特化。サービスの進化はこれからで、改善・改良もやるべきことがいくつもあり、今後も優先度を付けて淡々とサービスのクオリティ向上を目指します。
【PR】マイシェフクイックは出張レストランサービス。サービススタッフが出張して、レストランのコース料理をご自宅で提供し、食事の準備や後片付けもサービススタッフが担当します。レストランがご自宅にやってくるサービスです。
マイシェフクイック|東京の出張レストランサービス:https://quick.mychef.jp/
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