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出張シェフサービスのマイシェフ社長ブログ

個人向け出張シェフ・出張料理サービス "マイシェフ" の社長のブログです

Homejoyが潰れた原因と、サービスマーケットプレイス・オンデマンド・シェアリングエコノミー成立のためにすべきこと

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■なぜHomejoyは失敗したか(Why Homejoy Failed … And The Future Of The On-Demand Economy)

コントラクターか正社員かの違いにより、固定費が大幅に増え、収益モデルは完全に変わってしまう。

・急成長を急ぎすぎ、時期尚早な国際展開による、大幅なキャッシュアウトを指摘する人もいるが、最終的にポジティブなキャッシュフロー、Roiの道筋が付いていれば、それは問題ないはず。ただ実のところ、コントラクターと分類したとしても、Homejoyの事業採算はあっていなかった。

・家事は他の領域のサービスと違い、自宅に人を入れるため、その信頼性が極めて必要とされる。ユーザーは、いったん信頼できるサービス者を見つけたら、その人を手放したくなく、長い顧客ーサービス者の関係になる。

・オンデマンドサービス、特にホームサービスでうまくやるには、最高級サービスか、安いクイックイージーサービスのいずれかに特化すべき。

・Homejoyは、コントラクターを雇い、限定的な教育とし、顧客にとって魅力的な料金で提供することを選んだ。机上では、顧客メリットが大きく見えそうな形。しかし実際は、プロフェッショナルに魅力ない料金で、若くて経験不足で低品質な労働者を惹きつける形になり、その結果、安定しない低品質のサービスに繋がった。それが、顧客によるHomejoy飛ばしを助長した。

・顧客はいったん良いサービス者を見つけたら、またHomejoyで新しいサービス者を探す気にならないし、別の良い人が見つかる保証もない。結果、顧客が起点となったHomejoy飛ばしが多く発生した。

・オンデマンドプラットフォームは、よりコモディティサービスでうまくいっている。交通Uber、フードデリバリーInstacart、シッピングShypなど。サービス者への信頼はさほど必要でなく、人によるサービスレベルのばらつきが小さい。これらの会社もコントラクター、正社員問題を抱えるが、うまく解決できそうである。

techcrunch.com

 

■何がHomejoyを死に追いやったのか(What Really Killed Homejoy? It Couldn't Hold On To Its Customers)

・85ドルのところ、プロモーションで19ドルで新規顧客獲得。その後、リピートはしなかった。顧客獲得モデルが成り立っていなかった。低いリテンション率を改善するのではなく、急成長率を追い求めた。

・新規獲得にグルーポンのようなサイトに依存し、コアサービスの改善、クリーナーの質の改善を怠った。

・リテンション率は低く、1ヶ月以内に再予約したのは15-20%程度。特定のマーケットでは、30-40%まで改善したと言われたが。一方handyは、35%以上が1ヶ月以内に再予約し、45%まで達したマーケットもある。この領域では、リピート利用が全て。

・38ミリオンの大型調達により、投資家からの急成長の期待のプレッシャーがあった。期待に答えるべく、急すぎる成長を目指した。6ヶ月で30都市でサービス開始。

・CEOは常に急成長のことばかり言っていた。そして急成長がないと、次の資金調達はないと。

・新しい都市にいくと、グルーポンなどで新規獲得。新規顧客の75%がそういうサイト経由。大金を使った獲得策であるだけでなく、間違った顧客を引き寄せてしまった。多くは二度と予約しなかった。大きな割引によって、誤ったメッセージを送ってしまっていたようだ。

・2014年にプライシングを変え、繰り返し利用者に安い料金を提供し、リピートを促そうとしたが、意に反して、顧客は安い料金で予約して、先々の予約はキャンセルしてしまったりした。

・コアビジネスは機能していなかったが、トップラインの成長はすごく、現金はあったため、収益性の改善は喫緊の課題とは思われなかった。

・クリーナーに教育や準備をさせておらず、質のばらつきに問題あった。タクシーと違い、一度の悪い体験で顧客を失ってしまう。

・シカゴで、クリーナーにきちんとした教育をする実験をした。個人事業主の自由を超える対応だが、大いなる質の改善と顧客のリテンションに寄与した。

・Homejoyにとって明らかだったのは、コントラクターを教育しないままにするのが法律的には安全で、一方、質の悪いサービスが会社を潰しかねない、というトレードオフが存在することだった。

コントラクターを使用し、大型調達をしたサービスプラットフォームは、先12-24ヶ月でHomejoyと同じ問題に直面するだろう。バーンレートの高さによりキャッシュがなくなり、投資家はプロフィタビリティへの道筋を期待するようになる。

www.forbes.com

 

■なぜHomejoyは失敗したかWhy Homejoy Failed — Backchannel

コントラクターからの訴訟が、Homejoyをシャットダウンに追いやった理由ではない。

・投資家の追加投資をためらわせる要素がいくつもあった。積み上がる損失、低い顧客リテンション率、金のかかる国際拡大、頻発するバグ、ワーカーの離脱とHomejoy飛ばし。

・最大の問題の一つは、新規顧客獲得の失敗。グルーポン系サイトで、大幅なディスカウントで販売し、これらで獲得した新規顧客はほとんどが二度と利用しなかった。これらの客のうち、1ヶ月以内に再度使うのは25%。半年後も使っているのは10%もない。顧客獲得に膨大な金を使ったが、顧客を維持することはできなかった。

・2014年の終わりには、ペイドサーチとメールに変更し、ハウスクリーナーを求めるユーザーにシフトし、バーゲンハンターをつかむのをやめたが、時すでに遅かった。

・2014年頭に新都市での顧客獲得と急拡大を狙った料金値下げによって、損失が一気に膨らんだ。

・問題はコストだけでない。信頼性のあるサービス構築にも苦しんだ。多くの顧客がサービスレベルに満足せず、直前キャンセルも多発した。どうすれば高品質で安定したサービス提供ができるか、最後まで解決できなかった。

・個々のクリーニングは採算があっておらず、本質的に事業収支が成り立っていなかった。

・Homejoyはシリコンバレーの定石に従い、収支ではなく、グロースを優先した。シリコンバレーの投資家はこぞって、顧客ベースの拡大を優先し、継続するビジネスモデルの構築は後でいい、と起業家にメッセージを発し続ける。多くのオンデマンドサービス企業は、この教えに従っている。

・振り返ってみると、急すぎる新マーケットの拡大はHomejoyの大きなチャレンジであり、会社を大きなリスクにさらした。都市を急速に拡大したが、いくつかの都市では十分な顧客がおらず、Homejoyのようなサービスはすべきでなかった。

・競合のHandyもグルーポンを使うなど同じ戦術も多かったが、展開する都市を絞り、Homejoyよりも低いバーンレートで運営した。また60ミリオン(Homejoyは40ミリオン)の調達により、長い目で経営できている。

・何はともあれグロースに集中したことで、リテンションの改善やコストダウン策は低い優先度だった。他言語対応や他地域への拡大を優先し、基本的なサプライチェーンやオペレーションの確立を後回しにした。

・自分たちの時価総額を正当化するために、全てのフォーカスをグロースに置いていたともいえる。

・2度目の資金調達の後、ファウンダーは自信過剰に傲慢になってしまい、経験豊富な同僚の意見や経営チームの意見に耳を貸さなくなってしまった。

・クリーナーの品質のために必要な、クリアすべき条件は曖昧だった。また適切にクリーニングをするには適切な教育が必要だが、クラシフィケーション問題による制約があった。労働者の自由をどこまで認めるかという要素による、コントラクターか従業員かの区別。

・多くの都市で、クリーニングの教育セッションを行ったが、ワーカーに参加を義務付けられなかった。結果として、質を維持するアプローチは、まずクリーナーにやらせて見て、うまくできない場合にプラットフォームから登録を外すことだった。

・頻発した問題は、直前キャンセル。これは顧客とクライアントサービスチームをイラつかせた。直前キャンセル時、代替を見つけられたのは15ー20%程度しかなかった。

medium.com

 

■ 家事サービスの注目株 Handyが抱える混乱(Handy, a hot startup for home cleaning, has a big mess of its own.)

・Handyは1万クリーナーいる。100万予約突破。

・Handyは、クリーナーがミスを犯した時、ペナルティを与えている。クリーナーは、良い収入と顧客を得つづけるためには、極めて高評価を維持することを求められる。

・2013年3月には、毎90分に1予約入っていたが、その1年後には毎3分ごとに注文が入り(つまり30倍)、2014年9月には30秒ごとに注文が入る(180倍!)ように。

・この成長のために採用しまくった。2013年2月には5人だったが、1年後には50人になった。入社した従業員の大半は顧客体験チームの担当。顧客とのやりとり、クリーナーとのやりとりの担当。

・初期の頃は、ユーザー獲得、クリーナー登録、バグフィックス、顧客に課題の解決などバランスをとってやっていた。しかし2013年の夏の急成長が始まった時に、顧客対応チームが壊れた。ひどいサービスだと怒る顧客が多発、顧客対応チームの不満が爆発し、クリーナーにクビだと叫ぶように言い放ち。

・2013年秋、顧客体験のトラブルを解決しようと模索し、同時に急成長のためのテクノロジー投資も続けた。

・2014年夏にVP of カスタマーエクスペリエンスを雇った。圧倒的に業務量が多かったチームが、メトリクスを計測され、よりきっちり管理されるようになった。1時間あたりの顧客対応目標数が決められ、順位を公表された。全ての時間、ランチ時間からトイレ時間までモニターされ、士気は大幅に下がった。

・顧客&クリーナー対応チームは、給与体系が給与ベースから時給ベースに変わった。顧客を待たせないために、席を外す時間もモニターし、自動的に別に担当に振り分けたり。こういう対応をしても、2014年秋にはマンハッタンの顧客対応チームは機能しなくなっていた。

・当時、数千の顧客、数千のクリーナーから、週に1万もの問い合わせがあった。そのためアウトソースを検討した。が、アウトソースのせいで問題が増えた。その後数カ月で、耐えられずに数名のスタッフが辞めた。

・ニューヨークオフィスには、かつて顧客対応チームは100人ほどいたが、徐々に減り25人程度まで減った。

・28都市への急拡大は、金がかかった。新クリーナー登録に数百ドルかかった。バックグランドチェック、インタビュー、250ドルの掃除キット。2015年の2月には、週に400ー500人の新クリーナー登録。今でも週に数百人の新クリーナー登録しているが、その登録費は大幅に効率化され、100ドル以下になっている。とはいえ登録だけで週に数万ドルかかっている。

・クリーナーの定着率は、登録から2ー3ヶ月で20-40%はノンアクティブになってしまう。(handy自体は、逆の言い方を好んでいるが)

・handyのクリーナーは、4階級の時給に分けられていた。顧客からの評価と、過去28日で何回仕事ができたかの、2つの評価基準で定められた。平均的なクリーナーは下から2つめの金額帯だった。
 ・ティア1、15ドル、全クリーナーがここから始まる。
 ・ティア2、17ドル、顧客からの平均評価が4.5以上(5点満点)で、過去28日に最低10ジョブ以上対応。
 ・ティア3、20ドル、平均評価が4.5以上で、最低25ジョブ以上対応。
 ・ティア4、22ドル、平均評価が4.75以上で、最低50ジョブ以上対応。

・遅刻したらクリーナーに罰金をかした。

www.slate.com

 

■シェアリングエコノミーの教訓(Lessons From The Sharing Economy)

・シェアリングエコノミーは、全産業で機能するわけでなく、成立させるために必須の要件がいくつかある。顧客の大きな痛みがある領域だとうまく機能する。カーウォッシュのオンデマンドは便利だけど、別に苦痛ではない。

・理想的なのは、日々発生する痛みに取り組み、平均的なユーザーが週に数度使うもの。

・綺麗なデザインのアプリがあるのは良いことだが、実際のサービス体験が全て。サプライヤーがブランドやプロで無い限り、シェアリングエコノミーでは、品質と安全面でのリスクが高い。顧客が喜ぶ質の高い内容で、安全でコンシステントであることが、極めて大事。

・サービスのカルチャーやブランドが定まるまで、サプライヤー選定は慎重にし、モニターする必要がある。場を作り、誰でもサプライヤー登録できるようにし、あとはマーケットに任せる、というやり方もあるが、うまくいかない。

・シェアリングエコノミーのビジネスは安くない。fitmobはプロダクトローンチし、プロダクトマーケットフィットの証明のためだけに9ミリオン調達した。まずサプライ側を充実させないといけない。顧客のデマンドが予測できない初期に、サプライを揃える必要がある。

・サービスエリアの拡大は、都度新しい会社を作るようなもの。エンジニアだけじゃない、幅広い職種の人材が必要。アプリを作るだけなら安い。しかし、高品質のサービスを提供し、複数拠点でスケールさせようとすると、全く安くない。

techcrunch.com

マーケットプレイスモデルという妄想とバブル(Our Marketplace Obsession And Bubble)

・1990年台に生まれたマーケットプレイスモデルはCraigslist。

・次に、yelp、Angie's list、Groupon。専門家を検索する機能、レビュー、レイティング、割引。専門家は広告を出すことができ、リード獲得ができる。大型資金調達し、2011,2012年にIPO

・次に、特定領域特化のマーケットプレイス。thumbtackやHomeadvisor、Porch。顧客が時間を使って色々探す代わりに、顧客は欲する詳細を投稿し、プロフェッショナルがそれにオファーする形。

・そして、オンデマンドマーケットプレイス。スティッキネスや参入障壁を作るには、顧客、プロフェッショナルのトランザクション全てをオンラインで行うようにする。検索、日程調整、コミュニケーション、決済全てを。

・理論上は、顧客がより簡単にサービスを利用できるはずで、taskrabbit、Homejoy、Handyはいち早くオンデマンドサービスを開始し、それぞれ大型資金調達をした。しかし、うまく行っているとは言い難い。
・Taskrabbitは2割の従業員をクビにし、プライスモデルはいまだ模索中で、3年資金調達できていない。
・Homejoyはシャットダウン。
・Handyは成り立っているようだが社内問題がある。

・オンデマンドのサービスマーケットプレイスの最初の成功exitはcare.com。上場直後は1ビリオンまで行ったが、競争激化とユーザー離脱が止まらず、180ミリオンまで株価急落。

・技術による参入障壁の低さは、サービスマーケットプレイスの根本的な問題である。皮肉なことに、これにより投資家が膨大な投資をし続け、古い世代のマーケットプレイスをディスラプトし急成長を可能にする。他の根本的な問題は、継続して発生する中抜き問題。特にホームサービスに顕著である。

techcrunch.com

 

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