出張レストランサービスのマイシェフ社長ブログ

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【事例 日本】大企業のデジタル新規事業の具体例|11のデジタルトランスフォーメーション成功事例

大企業のデジタル新規事業の事例を9つ紹介します。

また成功9事例から、企業内でデジタル関連の新規事業を立上げる上で、重要だと思われる点をまとめます。

 

■ デジタル活用の新規ビジネス創出事例

デジタル 新規事業の具体事例

インターネット登場から2010年頃までは、ネットビジネスは主にパソコンや携帯に閉じた世界であり、ネットの影響を受ける産業は限定的でした(広告、EC、コンテンツ系など)。

しかし2010年代に入りスマートフォンが登場し、モバイル・クラウド・ソーシャルが浸透しました。2015年ごろから AI、IoT、様々なデジタルデバイス(ドローンやスマートスピーカー等)が登場し、2020年ごろからはAR/MR、5G、様々なロボティックスも広がりを見せるでしょう。

 

このようなデジタル技術の進化と広がりは、パソコンやスマホ画面の中だけに閉じた世界ではなく、様々な産業や業界に大きな影響を及ぼします。
AirbnbUberNetflixや中国アリババのフーマーフレッシュなど、既存の産業常識や枠組みを根底から覆すイノベーティブなサービス、人々に圧倒的に支持される新しいサービスが生まれています。

そのようなディスラプティブなイノベーションが、自社の産業を襲う不安にただ怯えるのではなく、自らデジタルを活用して、新しい事業・新しい未来を作ってやろう。

 

その産業や業界の既存常識と異なる、パラダイムシフトを起こす新規ビジネスや、過去の延長線上にない新しい価値創出を狙う新規ビジネスは、ほぼ必然的にデジタル技術を利用することになります。
自社の産業や業界に、これまでの常識を覆すデジタル用いた新しいサービス、革新的なプロダクトを投入した事例を紹介します。

 

■事例:IDOM社「NOREL、ガリバーフリマ、GO2GO」
中古車買取・販売会社のデジタル新規事業。

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中古車 買取&販売大手のIDOM社(ガリバー)による、月額定額制の自動車レンタルサービスNORELや、中古車の個人間売買サービスのガリバーフリマ、個人間カーシェアGO2GO を新サービスとして展開。

【新規事業の背景】
デジタル新規事業の背景にあったのは、2つの大きな課題。1つは日本の新車販売台数の低迷、もう1つは自動運転やUberなどカーシェア系の登場。所有から利用、売り買いから貸し借り&使うへの移り変わりの中で、どうすべきか考える時期だった。
既存事業の売上は増えていたが、同社経営者は経営方針として「現状の打破」を提示。将来を見越して、他社に先んじられる前に、既存事業の毀損を厭わず対応に取り組むことに。

【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、当時執行役員 新規事業開発室室長。
中途入社後、人事やマーケ、新型店舗開発、経営企画の後に、経営層に「組織構造を変えてくれ」と直談判したところ、自身が新規事業開発室室長に。

 【デジタル新規事業の推進体制】
創業時の思い・自社戦略CaaSの一環・既存事業とのシナジーを起点に、新しいデジタル新規事業を企画。
新規事業立上げ時に「現業を否定して構わない、IDOMを外部パートナーの1社として見ても構わない」と経営陣から明確に言われていた。新事業に挑戦する経営陣のバックアップがあり、新事業を許容する人事制度や組織の壁を壊す環境があった。

新規事業の勝負は立ち上がってからが本番。立上げ後に顧客の反応を基にした事業自体の見直しや、訴求方法の見極めなど、事業が市場に合致するまで迅速かつ粘り強く検証と改善が繰り返されることになる。
その対応のために、人材に着目し、ITスキルなど備えた人材を積極的に社外から採用。NOREL立上げ後、NORELの2代目事業責任者は、2015年の中途入社組IT人材。

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2015年9月、個人売買アプリガリバーフリマ(クルマジロ)を開始。
NORELは2016年8月サービス開始。、車の所有を利用サービスにリプレイスするウェブサービスを目指している。買い取った車をNORELで使用。ただNOREL専用在庫ではなく、販売と貸出は共通在庫。保有車の販路最適化は過去よりずってやっており、その機能拡張した形。開始3年で会員は3万弱まで増えたが、まだ事業は赤字とのこと。

GO2GO は個人間カーシェアを2019年4月に開始。サービス開始時点で 7000人以上の貸出車両のオーナー登録あり。IoTで運転状況をアプリで把握、位置車両トラッキングも。 

中古車販売IDOMが総力戦で挑む変革とは?|ITmedia
NORELは自動車リースではなくウェブサービス|Response.jp
新規事業必要なのは「突破力」新規事業開発室|ITmedia
新スタイル提案 超短期カーリース「NOREL」
「リアル店舗の強み生かす」 ガリバー、個人間カーシェアに参入|ITmedia

 

■事例:ストライプインターナショナル社「メチャカリ」

創業25年、売上1000億円、新興カジュアルアパレル大手のデジタル新規事業。

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ファッションIT新規事業 メチャカリ、2015年9月開始。スタートアップ企業エアクロ社がサービス開始した数ヶ月後に、真正面から既存アパレル企業が市場創造する新品ファッションサブスク事業です。2019年時点で有料会員数は1万3000人、ユーザーの8割が20-30代女性。

【デジタル新規事業の背景】
デジタル新規事業の背景にあったのは、一言で言えば、若者が服を買わなくなっている(2008年→2014年で4割減)ため。アパレル市場は縮小傾向にあり、若者のお金と時間はスマホにどんどん奪われている。若年層を取り戻すための良いアイデアがないかと考えたのがきっかけ。
当時、UberAirbnbなど業界外ITベンチャーによる業界ディスラプトが話題。ITベンチャーにやられる前に、自分たちで新たなサービスをやろうという空気があった。

自社ブランドを企画・製造し、自社ECを持ち、ユーズド販売ECも運営しているため、ECの在庫・物流を転用しつつ、新品レンタルをすることができる。

【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、ウェブマーケティング部課長。
アパレル企業、スポーツECネット企業をへて、同社に転職。EC事業の後、メチャカリ立ち上げ、現メチャカリ部長。

海外のLe Toteを参考に、自社商品を新品でレンタルし、戻ってきたものを中古販売するビジネスモデルができるのではと、社長に提案。

https://appmarketinglabo.net/wp-content/uploads/2017/06/mechakari_heavyuser.png

 【デジタル新規事業の推進体制】
事業構想は2014年末くらい。社長に企画提案後、2015年4〜6月にテスト実施、プロトタイプのサイトを作り、100名のお客様に使ってもらった。この結果をもとに値付けなどブラッシュアップした。2015年9月新サービスリリース。

ウェブサイトやアプリの企画制作はチームラボ社が担当。ローンチ後のAIチャットボット導入などもチームラボ社が担当。
在庫管理は、AMS社の在庫管理システムを利用し、倉庫・出荷・返品など業務運用もAMS社が担当。 

月額5800円「洋服レンタル」にハマる人の正体|PRESIDENT
ファッションサブスク「メチャカリ」有料会員1万3000人突破 | WWD JAPAN.com
業界初ファッションサブスクリプション 「メチャカリ」
他業界に奪われたシェアを取り戻す「メチャカリ」提供する理由|TechCrunch
『メチャカリ』店舗獲得できないユーザー層を取り込む|サブスクマガジン
ストライプインターのサブスク戦略_有料会員数が1.3万人に|通販新聞社
 ファッション×ITで事業拡大 「メチャカリ」黒字化までの3年間|MarkeZine
「3ヵ月継続で解約率が下がるから月額39円に」メチャカリ成功の秘訣|MarkeZine
「ファッションレンタル メチャカリ」チームラボが企画 制作を担当|teamLab
『メチャカリ』のバックオフィスにAMS独自システムを提供|CNET
パーソナライズスタイリングAIチャットボット”を導入|産経ニュース

 

■事例:クボタ社「農業経営支援 KSAS(クボタスマートアグリシステム)」

創業100年超、売上1兆5000億円の大企業、農業機械メーカー クボタのデジタル新規事業。

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農業機械ではなく、クラウド農場経営管理・支援サービスを提供。製造業が「モノ」から「サービス」への業態拡大、「機械販売」から「顧客の経営・業務支援」まで提供範囲を拡大する、新規事業のデジタルトランスフォーメーション。
2014年に営農支援サービス「KSAS」を提供。農機IoTセンサーでデータを取得し、コメ農家の経営改善に生かすクラウドサービス。2016年時点で1300軒以上の農業事業者が利用。

【デジタル新規事業の背景】
デジタル新規事業の背景にあったのは、日本のコメ農家は苦境にあり、コメ農家の生産性・競争力向上により、顧客の現状を食い止める必要性があった。

【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、現KSAS業務グループ長(当時は新規事業企画)。
農機営業、販売会社出向、製品企画を経て、新規事業企画を担当の後、農機第一事業推進部KSAS業務グループ長。
新規事業企画担当者と、技術部門の異なる研究対象の研究者4人が集まり、コンセプトを整理して企画書をまとめた(農機の自動運転も話題の一つだった)。

https://s.yimg.jp/images/promotionalads_edit/d-marketing/images/20161107/pic2.jpg

 【デジタル新規事業の推進体制】
2011年に新規事業の種を探していたとき、社内の「食味収量コンバイン」の研究開発を知った。コメ刈り取りと同時に食味と収量を測定できる技術。この技術とデータの記録・分析により、農業経営の支援につながるのではと考え、2012年4月にKSASプロジェクトが発足し、同年12月に開発に着手。13年4月に事業化に向けた検討を本格化。2013年までフィージビリティスタディし、コメ食味の品質向上と安定化、収量の増加も認められた。
約1年かけシステム開発、最盛期には50人の開発メンバー。同社にとって、製品(農機)とITが密接に関わる初めてのサービス開発。業務部門が主導し、トラクタ技術部、車両基礎技術部、サービス部門、営業企画部、システム子会社など複数の部門や、顧客である農家(モニターユーザー)も巻き込んで推進した。コメ農家からのフィードバックは、ユーザーインターフェース・現場の事情に関するものが多かった。

KSAS提供開始の後、2016年に農業サービスの高度化を狙い、NTTグループと連携協定を締結。

クボタ-ビッグデータで農機需要つなぎ留めにIT駆使|日経xTECH
IoTで旨い米をつくるクボタ式農業[前編]|Insight for D
IoTで旨い米をつくるクボタ式農業[後編]スマホ生産管理を可能に|Insight for D
 コメの“味”が分かるコンバイン|BigData Conference 2015
「入口から出口まで」のソリューション提供企業へ デジタル経営革命|日経 xTECH
https://www.ntt.co.jp/journal/1609/files/jn20160960.pdf

 

■事例:ソニー社「Qrio Lock、MANOMA」

大企業ソニーの、VC協業のデジタル新規事業。

https://japan.cnet.com/storage/2018/10/10/34064506467c2df7dbff31748b514a94/181010_sony_04.jpg

超大手企業ソニーにて、スマートホーム領域参入となる、デジタルIoTデバイスQrio Lock(スマートキー)。
投資育成会社WiLとの合弁会社で、2015年8月「Qrio Smart Lock」を、2016年10月「Qrio Smart Tag」を開発・発売した後に、2017年にソニーが完全子会社化。

【デジタル新規事業の背景】
米国ではGoogleがNestを買収して、スマートホームに参入。もしソニースマートホーム分野に興味持つなら、そのタイミング(Googleデファクトを握る前)で仕掛けるべきだとWil側は考えていた。
投資育成会社WiLがソニーのSAP(新規事業創出プログラム)にアイデアを持ち込み、WiL 6割、ソニー 4割を出資する合弁企業を2014年12月設立。
(2013年に複数の大企業の出資310億円でWilが設立され、ソニーも出資元企業であり、Wilはソニーに直接提案できる立場にあった。) 

【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、WiLのゼネラルパートナー(合弁企業の代表取締役に)。
2014年の夏にWillがソニーに話を持ちかけると、若手エンジニアが空き時間に、社内で使ってなかった暗号化技術を使ってプロトタイプを作り、ソニー社長に提案したところGOとなった。
2014年12月に合弁企業設立+クラウドファンディング、量産体制を整えて、2015年8月に「Qrio Smart Lock」を出荷という、大企業が絡む新事業として異例のスピードに。

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 【デジタル新規事業の推進体制】
Wil側が製品企画や販売、マーケティングを行い、プロダクトデザインと開発はソニーのエンジニアチームと共同で行う。無線セキュリティ暗号化技術など独自技術提供と開発サポートなどソニー側が行う体制・役割分担。
メーカーは物作りは得意だけど、インターネット企業に比べてサービス企画やその後の運営があまり上手じゃない。一方、量産や品質管理のノウハウは世界トップレベルで量産フェーズに大きな強みになる。

ソニーがスマートホーム事業に参入「MANOMA」ライフスタイル提案|CNET Japan
IoTの本質「Webな人」がソニーと作るメガベンチャー構想|エンジニアtype
Qrio Lock ネットビジネスの「技」をハードに活かす|月刊 事業構想
「Qrio Smart Lock」開発までの道のりとIoTに対する想い|SmartHacks Magazine
ソニー発のIoT企業がスマートホーム市場に見る勝機|BRAND TIMES
玄関の鍵が「子どもの見守り」になる仕掛け|東洋経済オンライン
ソニー、新規事業に社外のアイデア 手応えあり|日本経済新聞

 

■事例:オンワード樫山社「KASHIYAMA the Smart Tailor」
創業90年強、売上2500億円、大手老舗アパレルメーカーのデジタル新規事業。

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スタートアップが切り開いた D2Cオーダーメイドスーツ市場。アパレル大手のオンワード樫山オンワードパーソナルスタイル社)が2017年10月にD2Cオーダーメイドスーツ事業を開始、19年2月期売上高は37億円、約5万6000着販売。
19年2月から米国(マンハッタンやボストンなど全部で9拠点)で、4月から中国(大連)で事業開始。米国でも納期の早さが受けて、質が高いのに価格が安いと評判。

【デジタル新規事業の背景】
KASHIYAMA the Smart Tailor前に、オーダースーツの直営店事業(13店舗)、訪問販売のオーダースーツ事業があった。それらを引き継ぎ、ECやデジタル基板プラットホーム開発し、KASHIYAMA the Smart Tailorとして開始した。
従来のオーダースーツは最低10万円し、顧客の年齢層が高い。一方で、既成スーツ市場の平均単価は4万円ほど。その価格帯でオーダースーツを提供しようとした。
自社内には、スーツに見識を持つ従業員や優秀な生地屋、縫製工場など、資産ともいえるバックボーンを持っており、そのような人脈やノウハウ、リレーションを時代の中で活かせないかというのがスタート地点。

【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、現オンワードパーソナルスタイル社長。
経理部・CKやJプレスなど複数事業のMDや事業本部長を経験。この新事業案は、同氏が直接オンワードホールディングスの社長に打診。

新規事業立上げ時は、同社社長と生産部長の2人で推進し、事業立上げ時でも5人くらいの少人数体制だった。
新事業アイデアから事業スタートまで、およそ1年。

https://hyge.co.jp/wp-content/uploads/2018/02/kashiyama_article02.png

【既存事業からの反発】
新事業の企画段階で、オーダーメイドの納期を1週間にしたいと社内に伝えると、オーダーメイドは納品1ヶ月という社内常識があり、生産・物流・縫製すべての部門から「そんなのできるわけない」「品質が下がる」と猛反対に合った。
しかし、顧客の立場から考えれば、もちろん1週間の方が嬉しい。「自分が買う側だったらどう思うか」と社員に問いかけ、各部署を説得して回った。

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 【デジタル新規事業の推進体制】
14直営店の他に、予約専門の「ガイドショップ」と呼ぶサテライトショップが全国31店舗。
中国の工場を買収し、自社工場化。デジタルミシンがスーツを作り、生地の裁断などはロボット全自動なスマートファクトリー。2019年4月に第2工場開業。2018年8月時点で既に第3工場の建築も決まっている模様。
ウェブサイト・システム開発はハイジ・インターフェイス社が担当。
スマートテーラーでもテクノロジー(3D採寸)も検討した。しかしスマホ3D採寸では85%しか再現できず、残る15%のフィット感を諦めたらオーダースーツの意味がないため、3D採寸は採用しなかった。

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2019年11月より、F2C事業(factory to customer)の第2弾として、オーダーメイドウィメンズシューズを開始。オンワードパーソナルスタイル ゼネラルマネージャーが主導。 

採寸は“スマホ”より人間 オンワードのオーダースーツ好調|日経クロストレンド
戦略ケース KASHIYAMA the Smart Tailor
オンワード樫山の資産をベースに創りあげた「オーダーメイドスーツ」|FORZA STYLE
創業90年アパレルが挑む、デジタル改革とは
最短1週間で届くオーダースーツKASHIYAMA the Smart Tailor|BI JAPAN
KASHIYAMA the Smart Tailor|HYGE Interface Inc.
オンワードが女性向けオーダーシューズ市場参入、最短1週間で完成

 

■事例:寺田倉庫社「minikura、TERRADA WINE STORAGEなど」
物流倉庫会社のデジタル新規事業。

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BtoBの物流倉庫業の寺田倉庫が、BtoC向けの様々なデジタル関連保管サービスや、シェアリングサービスの倉庫機能の新規事業を次々立ち上げています。

【デジタル新規事業の背景】
デジタル新規事業の背景にあったのは、2010年頃、不動産業界のトランクルーム事業への参入。外部環境変化により、事業戦略の大幅な変更を余儀なくされた。
自社の強みを「管理」と再認識し、次世代のトランクルームを目指し、デジタル技術を活用し、個人向けの新しい物品管理サービス・富裕層向けサービスを検討をした。

(2011年社長変更時、戦略変更と構造改革により、売上は7分の1(700億円→100億円)に、従業員数は10分の1(1000人→100人)に激減させ、キャッシュフローを大幅に増大。)

https://ecnomikata.com/img_contents/ecnews/images/15465_thumbnail_0.png?now=20170814090004

【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、現専務執行役員
倉庫現場10年・営業4年の後、新規事業開発チームに所属時に、新ビジネス案としてminikuraを提案。法人向け物流・倉庫のノウハウを活かし、顧客層を法人から個人に変えることができれば、新たな市場の開拓ができると見込んだ。
2012年 個人向けのクラウド収納サービス「minikura」開始。2013年に minikuraをAPI化し、シェアリング企業のクラウド倉庫業務請負ビジネスを開始。

【デジタル新規事業の推進体制】
minikuraプロジェクト開始当初は担当は数名。IT人材はおらず、外部の開発会社利用。
しかし、スピード感を出せず、UIの細かな調整や施策のトライ&エラーのために、内製化の必要性を強く感じた。
数年の採用努力を経て、minikura事業部の半数は、ここ数年に入社したIT人材になっている。

https://prtimes.jp/i/14158/158/resize/d14158-158-637470-0.png

minikuraサービスとは別に、オンラインのワイン保管管理サービス「TERRADA WINE STORAGE」を2013年より開始、担当部門はプレミアムストレージグループ。
同グループにて厳選インポーター出店のワインマーケット「TERRADA WINE MARKET」を2019年開始。ワイン購入〜保管・管理までワンストップ提供。

また、美術品のオンライン個品管理サービス「TERRADA ART STORAGE」を2019年開始、担当は2016年設立の TERRADA ART ASSIST株式会社(美術品に関するソリューションのワンストップ提供する会社)。

稼いだカネは全部寄付、家も車も持たない。寺田倉庫社長の人生|講談社
倉庫会社が倉庫を手放す理由とは|LivingTech
TERRADA WINE STORAGEに感じる「嗅覚とセンス」の良さ|ECのミカタ
創業69年のイノベーション創発企業へ 寺田倉庫の変貌|MarkeZine
倉庫業からイノベーティブな会社へ 寺田倉庫のデジタルシフト|Digital Shift Times

 

■事例:リクルート社「エアレジ」

新規事業を数十年生み続けるリクルートの、リボン図ではない、リアル業界×デジタルの新規事業。

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飲食店の集客広告(ホットペッパー)を提供するリクルートライフスタイル社。ネット&リアル接点があり、領域(飲食、美容など)をまたぐ新規事業のエアレジ。
無料レジから始まったエアレジは、店内注文システムや受付管理、予約管理やバイトシフト、お店の売上管理など、飲食店の様々な業務支援に領域を広げています。2013年10月ローンチし、利用店舗数は2019年9月末時点で44万超。

【デジタル新規事業の背景】
デジタル新規事業の背景には、リアルとソフトウェアの融合の観点で、GoogleなどITテクノロジー企業が競争優位性を活用できず、リアル接点を有するからできることを模索。「ローカル、リアル、店舗」などのキーワード。

【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、リアルマーケティング開発グループ担当。
中途入社し、じゃらんの後に、ポンパレ立上げ担当。2013年にエアレジ開発担当。
ちなみに、事業立上げ前、社内では何年も前からレジ事業は複数の人から何度も起案され、その都度却下され続けていたそうです。

 【デジタル新規事業の推進体制】
Airレジの開発は2013年4月から、5人ほどでスタート。開発時、副業で飲食店でアルバイトして実際にPOSレジ業務など行い、副業で飲食店経営する社員もいた。(POSレジ業務の課題や使い勝手をヒアリングをしても "毎日やる必要ある業務" と捉えており、改善のヒントが見つからない。実際に体験する必要があるため、アルバイトした。)
担当者に、美容室エステの予約管理システムの元企画者もおり、紙情報をデジタル化することで、業務負荷が下がることは経験・実証済みだった。

プロジェクト開始から3ヶ月後にプロトタイプのアプリ開発。導入1号店はリクルートOBが経営する店。当初は全員で営業し、10店舗ほどクローズドテスト協力してもらい、フィードバックやデータを得ていた。その時に、このプロダクトはいけると手応えを得た。

POSレジ新事業の企画が、却下されなかったのは、実際のアプリがあったからだろうとのこと。
ローンチ後、広く導入が広がったのは、リクルートグループの営業力含めた資産の力が大きい。ローンチ後2年で、5-6人のチームだったのが200人ほどのチームに拡大。

Airレジの構想と誕生秘話を探る | ウェブ電通報
Airレジ開発のこだわりと今後の展開 | ウェブ電通報
プラットフォームとしてのAirレジの可能性 | ウェブ電通報
「Airレジ」はリクルートになかったビジネスモデルへの挑戦|ダイヤモンド
「Airレジ」立ち上げの裏側|doda
リクルートの「力技」Airレジを立ち上げた営業パワー|ICC
商売の「当たり前」を変える POSレジアプリ経営支援|事業構想
0円でカンタンに使えるPOSレジ「Airレジ」|フードスタジアム

   

■事例:エーザイ「eお薬さん」

製薬会社エーザイの IoTデジタル新規事業。

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IoT服薬支援機器プロジェクト着手は2009年、サービス開始は2017年。8年かかった。

指定時刻・指定量の服薬を促し、飲み忘れや過量服薬の防止をサポート。クラウドで患者の家族や薬剤師、ケアマネージャーなど関係者が服薬状況を確認できる機能も搭載。

【デジタル新規事業の背景】
製薬会社として病院に薬を販売している。時代の変化とともに、薬以外のソリューション提供を検討するように。従来の "製薬の販売" に収まらないビジネス開発を目指した。
「医療安全」と「在宅患者様のQOL向上」の実践方法を探るため、医療機関や在宅の現場を積極的に訪問していた。在宅患者の服薬管理についての悩みの聴き取りから製品を開発。「独居の認知症患者は、服薬したのを忘れて過量に服用するリスク」「服薬実態が把握できないまま、用量が増えて副作用が発現した事例」など、良い薬の開発・販売だけでは、十分ではないことに気づく。

【デジタル新規事業の主導者】
hhcソリューション本部 ソリューション企画推進部。2009年時は、CJ部(Customer Joy:顧客歓喜)に所属し、患者や家族の潜在的ニーズの充足による顧客歓喜の創出を目指した活動を開始していた。

【デジタル新規事業の推進体制】
IoT服薬支援機器の開発は一筋縄ではいかず、周囲の理解を得るのに時間を要し、数年はアンダーグラウンドで進めていた。
社内に電子機器製造ノウハウはなく、社内の賛同者も少なかった。社外に協力者を求めつつ、徐々に社内を説得していった。自分の目で現場を見た上で始めたプロジェクトだからこそ、賛同者が少ない初期から“正しいことをしている”と信じて社内に発信し続けることができた。
プロジェクト着手は2009年、サービス開始は2017年。8年かかった。

エーザイの担当者はどう新規事業を立ち上げ、顧客体験を変えたのか|Biz/Zine
現場の悩みから服薬支援機器を開発 開発者より|エーザイのhhcソリューション事業
超高齢化社会を迎える中、製薬会社が開発した服薬支援の新型薬箱

 

 

■事例:クックパッド社「クックパッドマート」
上場ネットベンチャーの "デジタル×リアル" 事業への新規参入。

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レシピサイト大手 クックパッド社による、実際の生鮮食品を扱う新規事業。生鮮食品をスマホ注文し、自宅近くの店舗や施設ロッカーで受け取れる生鮮食品ネットスーパー。

デジタルトランスフォーメーションというと、フィジカルな実業を持つ企業がデジタル 活用が多いですが、もともとデジタル企業(ネット企業)がフィジカル事業に参入するチャレンジです。
サービス提供開始から1年経過時点では、専用宅配ボックスの設置箇所は30箇所。

【デジタル新規事業の背景】
デジタル新規事業の背景として、社内では食品関連ECに再チャレンジしたい考えがあった(過去に参入するも4年で撤退)。料理レシピ・買い物と生鮮品流通・生産者の領域で。

既存の生鮮品を扱う企業(スーパーなど小売や既存流通、ネットスーパーなど)は、"専業主婦の母親が、日中 家にいる環境" を前提に買い物と料理を提供している。対して、"共働きで買い物時間なく、日中家にいない" という過去の前提とは異なる、現在増加している状態を前提に、サービスをデザインしている。

【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、新規事業担当部長。
学生起業の後、スタートアップ企業に転職。当該企業のクックパット買収に伴いグループ入り。当該企業の2代目CEO。当該企業が別企業に事業譲渡に伴い、クックパッドに残り新規事業担当部長に。クックパッドマートが自身5回目の事業立上げ。

最初の企画書は"使い方はECアプリ、動いてるのは買い物代行" というサービスECの1枚ペラの企画だった。

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 【デジタル新規事業の推進体制】
最初は3人(事業責任者、デザイナ、エンジニア)でサービス作りを開始し、様々な検証を行い、その半年後にはおよそ10人体制に。責任者は元ベンチャーCEO、他メンバーも過去に別の新規事業に携わってメンバーも多い。
事業スキームや登録店舗開拓、アプリや物流スキームだけでなく、IoT冷蔵庫や販売者むけIoTラベルプリンタ、ドライバー向けアプリなども開発。

当初はシンプルな買物代行サービスを想定し、検証に取り掛かった。目的価値検証できる最も簡単な方法を選んだことで、チーム発足後2週間で最初の検証テストに着手。

新規事業「クックパッドマート」の立上げの話
クックパッドがC2Cに本腰。26歳最年少部長の原体験|BI JAPAN
クックパッド レシピを前面にEC開始|日流ウェブ
クックパッドが食品ECビジネスに参入|TechCrunch Japan
新規事業のIoTプロダクト開発に必要なこと
 リリース間近の新規事業「クックパッドマート」の立ち上げの話|開発者ブログ
新規事業のIoTプロダクト開発に必要なこと|開発者ブログ
新卒3年目の私が、新規事業で冷蔵庫を探して学んだこと|クックパッドマートnote
クックパッドマート事業責任者が語った舞台裏-新規事業の組織づくり手法|CNET
クックパッドマートの舞台裏--新規事業における組織づくり手法
イノベーティブな生鮮食品EC 「新しい仕組みの作り方」(前編)
イノベーティブな生鮮食品EC 「新しい仕組みの作り方」(後編)
クックパッドがネットスーパー開始から1年後の現状|Diamond 

 

■事例:ブリジストン「B-TAG、TreadStat、Tirematics」

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良いタイヤ製造の時代から、技術成熟によるタイヤ単体のコモディディ化・低価格化になり、デジタル技術を使うソリューション提供にビジネスの軸足を移すうという経営判断に。
価格ではなく、タイヤ関連のトータルコストやパフォーマンスで勝負する作戦に。

顧客にタイヤをレンタルし、メンテナンスや管理、適切なタイミングで表面ゴム張替えする。安全性も向上し、非稼動ロスも削減。顧客はタイヤ在庫やローテーション・修理を考えなくて良い。
データ収集と分析により、タイヤの故障原因や傾向を捉え、タイヤ使用の提案や商品開発にも生かしている。

南米や豪州の巨大鉱山の超大型トラックタイヤ向けに、IoTセンサー「B-TAG」と、使用状況に応じたメンテナンスプログラム「TreadStat」を提供。
バスやトラックにも装着できるようB-TAGを進化させ、車両位置情報などリアルタイムモニタリング「Tirematics」を提供。 

ブリヂストン タイヤ製造販売からタイヤソリューション事業者への変革|日経xTECH
ブリヂストンの変革 「タイヤを売らずに稼ぐ」ビジネスとは|ITmedia
IoTの進化 がもたらしたタイヤのイノベーション|ビジネス+IT

 

■事例:ヤマハ発動機社「月極ライダー」

オートバイメーカーの デジタルサブスクリプションビジネス。

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月額バイクレンタルサービス 月極ライダー、2019年5月開始。ヤマハは自社バイク資産を使う形を取らず、販売店中古バイク)と利用者をつなげるウェブサイトのみ担う立ち位置のビジネスにした。

【デジタル新規事業の背景】
バイク市場は年々縮小しており、バイク免許取得者の25%がバイク利用経験がない。に林業界の活性化をすべく、この"眠っている"バイク免許取得者に、バイクに乗るきっかけを提供することを目的に新事業を開発。

バイク製造・販売するが、販売会社経由であり、消費者との直接の接点を持ってこなかった。デジタル革新によりメーカーと消費者の関係性も変わり、コミュニケーション変革こそ事業拡大の一手として、消費者向けのサービスに取り組んだ。

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【デジタル新規事業の主導者】
MC事業本部 新ビジネス推進部。
オートバイ設計開発、営業管理、海外駐在を経て、新規事業部門。

【デジタル新規事業の推進体制】

バイクのサブスクは、既存事業と顧客は違う、競合する業界も違う、提供内容やビジネスモデルも違う。社内で様々な意見が飛び交った。しかも、他社バイクもあり、中古車、リースと、既存事業の真逆で有り、既存の販売会社から反発が当然あった。
既存ビジネスは "新品のバイクを買う" 方にしかリーチできず、既存ビジネスで無視しているユーザー層に新たにリーチできるサービスは、既存ビジネスにも意味がある(顧客との接点を増やし、新たなビジネスチャンスを創出する)、と社内を説得した。

更に1年前から提供するバイクレンタルでは、事業開始当初、新車販売に影響するという声が社内にあった。しかしいざ事業を始めれば、レンタル利用者の6割が20-30代(一方でバイク購入者の平均年齢は50歳代)で、新たな見込み客を販売店へと向かわせるツールになっている。

ヤマハの担当者はどう新規事業を立ち上げ、顧客体験を変えたのか|Biz/Zine
中古バイクでサブスク、メーカー横断で仕掛けるヤマハ|Response.jp
「月極ライダー」他社製バイクも低額&定額利用。二輪業界は競争から協力へ
レンタルバイク利用者のデータから見えた新しいライダー像|Park blog
販売台数減少に危機感、2輪車業界が若者需要喚起にあの手この手|ニュースイッチ

 

 

【日本 成功事例】デジタルトランスフォーメーション 成功事例15選
DX主導部門とDX目的との成果(成功,失敗)の関係性

新規事業を成功させるために必要なこと
新規事業の成功率は10%未満 ◉ 大企業の新規事業 成功確率を上げるために
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