出張レストランサービスのマイシェフ社長ブログ

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DX 成功のために必要なこと|攻めのデジタルトランスフォーメーション(新事業や新製品開発)が重要

デジタルトランスフォーメーションの成功に必要なことは、案外シンプルです。

成功する企業は、攻め型のデジタル戦略を採用する傾向 が顕著だそうです。
デジタルトランスフォーメーションの目的や施策として、新事業や新製品の開発・新規顧客の開拓に重点を置き、逆に、コスト効率化への注力が有意に少ないそうです。

 

■DX成功のために必要なこと

デジタルトランスフォーメーション成功のために必要なことは、1行で表現するなら、
「成功したいなら、真に変革に取り組み、新事業や顧客を開拓する必要がある。」

デジタルトランスフォーメーション  成功

 

■DX失敗する企業の傾向

逆に、デジタルトランスフォーメーションに失敗する理由を、1行で書くなら、
「DXに失敗する企業は、自動化やコスト削減ばかりやっている。」

デジタルトランスフォーメーション 失敗

 

デジタルトランスフォーメーション、変化への適応に本気で取り組む企業にとってカギとなるのは、自社の戦略が真に「変革」であり、単に一連のコスト削減策とならないよう、万全を期すこと、だそうです。
既存企業のデジタルトランスフォーメーションの敗因は、その守りの姿勢にある。

ハーバードビジネスレビューの記事は、デジタルトランスフォーメーションに成功する企業・失敗する企業の違いを、上記のように結論づけています。 

www.dhbr.net

 

ハーバードビジネスレビュー記事にある、デジタルトランスフォーメーション6つの戦略を、日本の既存企業のDX事例と合わせて説明します。 

 

■DX成功につながる「攻め型 DX3戦略」

デジタルトランスフォーメーションに成功する企業は、新たな需要・新たな供給・または新たなビジネスモデルの確立を狙う、「攻め型」のDX戦略を取ることが多いそうです。 

 ●攻め型① プラットフォーム展開
 ●攻め型② 新たな限界供給
 ●攻め型③ デジタル対応の製品・サービス

 

●攻め型① プラットフォーム展開

業界のバリューチェーンを再定義して価値の流れを劇的に変え、自社がバリューチェーン上で有利な立ち位置を取ることを狙う戦略。

 

■事例:ソニー社「Qrio Lock、MANOMA」

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超大手企業ソニーにて、スマートホーム領域参入となる、デジタルIoTデバイスQrio Lock(スマートキー)。投資育成会社WiLとの合弁会社2015年8月「Qrio Smart Lock」を開発・発売。2017年にソニーが完全子会社化。

当時、米国ではGoogleがNestを買収して、スマートホームに参入。
もしソニースマートホーム分野に興味持つなら、そのタイミングで仕掛けるべきだとWil側は考えていた。なぜなら、もしGoogleが1つデファクトを握ってしまうと、マーケットで勝負が決まってしまうから。

新しいマーケット(スマートホーム領域)のバリューチェーンやエコシステムが定まる前に、ソニーがその入り口となり得るデジタルIoTデバイス(スマートキー)事業にて、市場に参入した事例。 

 

■事例:寺田倉庫社「minikura、TERRADA WINE STORAGEなど」

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BtoBの物流倉庫業の寺田倉庫が、BtoC向けの様々なデジタル関連保管サービスや、シェアリングサービスの倉庫機能の新規事業を次々立ち上げています。

法人向け物流・倉庫のノウハウを活かし、顧客層を法人から個人に変えることができれば、新たな市場の開拓ができると、2012年 個人向けのクラウド収納サービス「minikura」開始。
個人向けの小ロット対応ビジネスを成立させたことで、当時増えつつあったシェアリング企業のクラウド倉庫業務請負ビジネス(minikuraをAPI化)を開始。倉庫のAWSの立ち位置を確立した。

 

■事例:クックパッド社「クックパッドマート」

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上場ネットベンチャーの "デジタル×リアル" 事業への新規参入。生鮮食品をスマホ注文し、自宅近くの店舗や施設ロッカーで受け取れる生鮮食品ネットスーパー。

生鮮食品の受け取り場所は、スーパー(リアル店舗)か自宅(EC通販)のみの所に、自宅からほど近い専用ボックス という、第3の選択肢を世の中に広めようとする事業。
言い方を変えれば、既存のバリューチェーンの最下流に、自社が新たに割って入ろうとするデジタル新事業です。

料理レシピという強みを生かし、既存の課題を既存のパラダイムと異なる方法で解消しようとし、デジタルを用いた新事業。

 

●攻め型② 新たな限界供給

ごく一部の企業がとるのが、デジタル技術を用いて、これまで閉ざされていた供給源を限界費用で活用できるようにすること。

 

■事例:IDOM社「NOREL、ガリバーフリマ、GO2GO」

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中古車 買取&販売大手のIDOM社(ガリバー)による、月額定額制の自動車レンタルサービスNORELや、中古車の個人間売買サービスのガリバーフリマ、個人間カーシェアGO2GO を新サービスとして展開。

同社には、買い取った中古車という資産があり、過去は、それを売るだけ(中古車販売)だった。
車業界の激変の中で、現状打破を狙い、2016年NORELサービス開始。買い取った中古車をNORELでも使用し、販売と貸出は共通在庫。保有車の販路最適化は過去よりずってやっており、その機能拡張した形。

GO2GO は個人間カーシェアを2019年に開始。中古車の買取・販売タイミングを利用。中古車を売った人には、安くシェアで使えることをアピールし、中古車を買う人には、シェアに出すことで固定費の足しになるとアピール。

 

■事例:ストライプインターナショナル社「メチャカリ」

 https://appmarketinglabo.net/wp-content/uploads/2017/06/mechakari_heavyuser.png 

ファッションIT新規事業 メチャカリ、2015年9月開始。
自社ブランドを企画・製造し、自社ECを持ち、ユーズド販売ECも運営している特徴を持っていたため、ECの在庫・物流を転用しつつ、新品レンタルをすることができる。

自社商品を新品でレンタルし、戻ってきたものを中古販売するビジネスモデル。

事業企画・スタート時、ある程度のカニバライズは覚悟していたが、蓋を開けてみれば、既存顧客は30%ほどで、70%は新規顧客。カニバライズ影響より、これまでと違う新たな顧客獲得につながっている。
また借りて、気に入ったら買う、というユーザーも一定いるそうで、当初想定しなかった嬉しい誤算もあり、事業は開始から3年にして既に黒字基調が見えているそう。

 

■事例:ヤマハ発動機社「月極ライダー」

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月額バイクレンタルサービス 月極ライダー、2019年5月開始。ヤマハは自社バイク資産を使う形を取らず、販売店中古バイク)と利用者をつなげるウェブサイトのみ担う立ち位置のビジネスにした。
バイク市場は年々縮小しており、バイク免許取得者の25%がバイク利用経験がない。
この"眠っている"バイク免許取得者に、バイクに乗るきっかけを提供することを目的に、月額バイクレンタルサービスを開始。
バイクのサブスクは、既存事業と顧客は違う、競合する業界も違う、提供内容やビジネスモデルも違う。社内で様々な意見が飛び交った。しかも、他社バイクもあり、中古車、リースと、既存事業の真逆で有り、既存の販売会社から反発が当然あった。
 

●攻め型③ デジタル対応の製品・サービス

攻め型の企業の過半数がとるのがこの戦略。デジタル機能を持つ新製品や新サービスを生むために、デジタル技術を用いる。

 

■事例:クボタ社「農業経営支援 KSAS(クボタスマートアグリシステム)」

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創業100年超、売上1兆5000億円の大企業、農業機械メーカー クボタのデジタル新規事業。
農業機械ではなく、クラウド農場経営管理・支援サービスを「KSAS」提供。製造業が「モノ」から「サービス」への業態拡大、「機械販売」から「顧客の経営・業務支援」まで提供範囲を拡大する、新規事業のデジタルトランスフォーメーション。

このクラウドサービスの技術があることで、新たにGPS自動運転農機 ファームパイロット(耕うんトラクタ・田植機・刈り取りコンバイン)の事業につなげている。

 

■事例:エーザイ社「eお薬さん」

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IoT服薬支援機器プロジェクト着手は2009年、サービス開始は2017年。8年かかった。

製薬会社として病院に薬を販売している。時代の変化とともに、薬以外のソリューション提供を検討するように。従来の "製薬の販売" に収まらないビジネス開発を目指した。2009年時は、CJ部(Customer Joy:顧客歓喜)に所属し、患者や家族の潜在的ニーズの充足による顧客歓喜の創出を目指した活動を開始していた。

IoT服薬支援機器の開発は一筋縄ではいかず、周囲の理解を得るのに時間を要し、数年はアンダーグラウンドで進めていた。社内に電子機器製造ノウハウはなく、社内の賛同者も少なかった。

指定時刻・指定量の服薬を促し、飲み忘れや過量服薬の防止をサポート。クラウドで患者の家族や薬剤師、ケアマネージャーなど関係者が服薬状況を確認できる機能も搭載。

 

■事例:三越伊勢丹社「Your FIT 365」

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3D計測機で足型を計測し、木型を基にデータ化した靴情報とマッチングさせ、おすすめのパンプスをレコメンドしてくれるYour FIT 365。
まずは婦人靴の自社ブランド(ナンバートゥエンティワン)に活かし、その先には取引先の各種ブランドの情報とのマッチングを図り、より顧客パーソナルな接客販売に活かす。
自宅でリピート購入できるようアプリも用意されている。

 

■DX成功に繋がらない「守り型 DX3戦略」

「守り型」のDX戦略は、従来の活動の改善を目的とするものです。
このDX戦略が、無駄とは言いません。効率化や自動化は、既存事業の改善に有効です。

しかしながら、「守り型」のDX戦略をどれだけ行おうとも、新たな需要・新たな供給・新たなビジネスモデルを創出することは不可能です。

 

●守り型④ リバンドルとカスタマイズ

製品・サービスをリバンドル(再構成)して、既存顧客へのメリットを高めるために、デジタル技術を活用する。

事例:新聞社の、オンライン記事の有料化。

 

●守り型⑤ デジタルの流通・販売チャネル

製品・サービスへの、顧客のアクセスをより簡単にするために、デジタルの流通・販売チャネルに投資する。

事例:メーカーの、直販ECサイト

 

●守り型⑥ コスト効率

コスト効率を高めるためにデジタル技術を利用。自動化やコスト縮小により実現。
この戦略は、比較優位の源泉を生むためではなく、自社が生き残るためのものと思われる。 

事例:多くの企業のRPA導入。