【日本 成功事例】デジタルフォーメーション 成功事例15選|デジタル新事業や全社的DX推進
日本企業のデジタルトランスフォーメーションの成功事例を15こ紹介します。
デジタルトランスフォーメーションは、次の2通りの目的に分かれます。
- 業務やプロセスの効率化・改善・高度化
- 新規ビジネスの創出/ビジネスモデルの変革
前者は、既に多くの企業で取り組まれて、成果を上げる企業も多いと聞きます。
一方で、後者 "新規ビジネスの創出/ビジネスモデルの変革" に取り組む企業はまだまだ少ない。当エントリーでは、デジタル新規ビジネス創出・ビジネスモデル変革目的の デジタルフォーメーション成功事例を15こ紹介します。
■ デジタル活用の新規ビジネス創出事例
デジタルの広がりにより、AirbnbやUber、LineやNetflixなど、既存の産業常識や枠組みを根底から覆すイノベーティブなサービス、人々に圧倒的に支持される新しいサービスが生まれています。
そのようなディスラプティブなイノベーションが、自社の産業を襲う不安にただ怯えるのではなく、自らデジタルを活用して、新しい事業・新しい未来を作ってやろう。
その産業や業界の既存常識と異なる、パラダイムシフトを起こす新規ビジネスや、過去の延長線上にない新しい価値創出を狙う新規ビジネスは、ほぼ必然的にデジタル技術を利用することになります。
"デジタル活用する新規事業" と "既存の延長線上にない新しい価値創出する新事業(当然デジタル技術を使う)"は、似て全く非なるアプローチになります。
自社の産業や業界に、これまでの常識を覆すデジタル用いた新しいサービス、革新的なプロダクトを投入した事例を紹介します。
■事例:寺田倉庫社「minikura、TERRADA WINE STORAGEなど」
物流倉庫会社のデジタルトランスフォーメーション。
BtoBの物流倉庫業の寺田倉庫が、BtoC向けの様々なデジタル関連保管サービスや、シェアリングサービスの倉庫機能の新規事業を次々立ち上げています。
【DXの背景】
デジタルトランスフォーメーションの背景にあったのは、2010年頃、不動産業界のトランクルーム事業への参入。外部環境変化により、事業戦略の大幅な変更を余儀なくされた。
自社の強みを「管理」と再認識し、次世代のトランクルームを目指し、デジタル技術を活用し、個人向けの新しい物品管理サービス・富裕層向けサービスを検討をした。
(2011年社長変更時、戦略変更と構造改革により、売上は7分の1(700億円→100億円)に、従業員数は10分の1(1000人→100人)に激減させ、キャッシュフローを大幅に増大。)
【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、現専務執行役員。
倉庫現場10年・営業4年の後、新規事業開発チームに所属時に、新ビジネス案としてminikuraを提案。法人向け物流・倉庫のノウハウを活かし、顧客層を法人から個人に変えることができれば、新たな市場の開拓ができると見込んだ。
2012年 個人向けのクラウド収納サービス「minikura」開始。2013年に minikuraをAPI化し、シェアリング企業のクラウド倉庫業務請負ビジネスを開始。
【デジタル新規事業の推進体制】
minikuraプロジェクト開始当初は担当は数名。IT人材はおらず、外部の開発会社利用。
しかし、スピード感を出せず、UIの細かな調整や施策のトライ&エラーのために、内製化の必要性を強く感じた。
数年の採用努力を経て、minikura事業部の半数は、ここ数年に入社したIT人材になっている。
minikuraサービスとは別に、オンラインのワイン保管管理サービス「TERRADA WINE STORAGE」を2013年より開始、担当部門はプレミアムストレージグループ。
同グループにて厳選インポーター出店のワインマーケット「TERRADA WINE MARKET」を2019年開始。ワイン購入〜保管・管理までワンストップ提供。
また、美術品のオンライン個品管理サービス「TERRADA ART STORAGE」を2019年開始、担当は2016年設立の TERRADA ART ASSIST株式会社(美術品に関するソリューションのワンストップ提供する会社)。
稼いだカネは全部寄付、家も車も持たない。寺田倉庫社長の人生|講談社
倉庫会社が倉庫を手放す理由とは|LivingTech
TERRADA WINE STORAGEに感じる「嗅覚とセンス」の良さ|ECのミカタ
創業69年のイノベーション創発企業へ 寺田倉庫の変貌|MarkeZine
倉庫業からイノベーティブな会社へ 寺田倉庫のデジタルシフト|Digital Shift Times
■事例:オンワード樫山社「KASHIYAMA the Smart Tailor」
創業90年強、売上2500億円、大手老舗アパレルメーカーのデジタルトランスフォーメーション。
スタートアップが切り開いた D2Cオーダーメイドスーツ市場。アパレル大手のオンワード樫山(オンワードパーソナルスタイル社)が2017年10月にD2Cオーダーメイドスーツ事業を開始、19年2月期売上高は37億円、約5万6000着販売。
19年2月から米国(マンハッタンやボストンなど全部で9拠点)で、4月から中国(大連)で事業開始。米国でも納期の早さが受けて、質が高いのに価格が安いと評判。
【DXの背景】
KASHIYAMA the Smart Tailor前に、オーダースーツの直営店事業(13店舗)、訪問販売のオーダースーツ事業があった。それらを引き継ぎ、ECやデジタル基板プラットホーム開発し、KASHIYAMA the Smart Tailorとして開始した。
従来のオーダースーツは最低10万円し、顧客の年齢層が高い。一方で、既成スーツ市場の平均単価は4万円ほど。その価格帯でオーダースーツを提供しようとした。
自社内には、スーツに見識を持つ従業員や優秀な生地屋、縫製工場など、資産ともいえるバックボーンを持っており、そのような人脈やノウハウ、リレーションを時代の中で活かせないかというのがスタート地点。
【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、現オンワードパーソナルスタイル社長。
経理部・CKやJプレスなど複数事業のMDや事業本部長を経験。この新事業案は、同氏が直接オンワードホールディングスの社長に打診。
新規事業立上げ時は、同社社長と生産部長の2人で推進し、事業立上げ時でも5人くらいの少人数体制だった。
新事業アイデアから事業スタートまで、およそ1年。
【既存事業からの反発】
新事業の企画段階で、オーダーメイドの納期を1週間にしたいと社内に伝えると、オーダーメイドは納品1ヶ月という社内常識があり、生産・物流・縫製すべての部門から「そんなのできるわけない」「品質が下がる」と猛反対に合った。
しかし、顧客の立場から考えれば、もちろん1週間の方が嬉しい。「自分が買う側だったらどう思うか」と社員に問いかけ、各部署を説得して回った。
【デジタル新規事業の推進体制】
14直営店の他に、予約専門の「ガイドショップ」と呼ぶサテライトショップが全国31店舗。
中国の工場を買収し、自社工場化。デジタルミシンがスーツを作り、生地の裁断などはロボット全自動なスマートファクトリー。2019年4月に第2工場開業。2018年8月時点で既に第3工場の建築も決まっている模様。
ウェブサイト・システム開発はハイジ・インターフェイス社が担当。
スマートテーラーでもテクノロジー(3D採寸)も検討した。しかしスマホ3D採寸では85%しか再現できず、残る15%のフィット感を諦めたらオーダースーツの意味がないため、3D採寸は採用しなかった。
2019年11月より、F2C事業(factory to customer)の第2弾として、オーダーメイドウィメンズシューズを開始。オンワードパーソナルスタイル ゼネラルマネージャーが主導。
採寸は“スマホ”より人間 オンワードのオーダースーツ好調|日経クロストレンド
戦略ケース KASHIYAMA the Smart Tailor
オンワード樫山の資産をベースに創りあげた「オーダーメイドスーツ」|FORZA STYLE
創業90年アパレルが挑む、デジタル改革とは
最短1週間で届くオーダースーツKASHIYAMA the Smart Tailor|BI JAPAN
KASHIYAMA the Smart Tailor|HYGE Interface Inc.
オンワードが女性向けオーダーシューズ市場参入、最短1週間で完成
■事例:IDOM社「NOREL、ガリバーフリマ、GO2GO」
中古車買取・販売会社のデジタルトランスフォーメーション 。
中古車 買取&販売大手のIDOM社(ガリバー)による、月額定額制の自動車レンタルサービスNORELや、中古車の個人間売買サービスのガリバーフリマ、個人間カーシェアGO2GO を新サービスとして展開。
【DXの背景】
デジタルトランスフォーメーションの背景にあったのは、2つの大きな課題。1つは日本の新車販売台数の低迷、もう1つは自動運転やUberなどカーシェア系の登場。所有から利用、売り買いから貸し借り&使うへの移り変わりの中で、どうすべきか考える時期だった。
既存事業の売上は増えていたが、同社経営者は経営方針として「現状の打破」を提示。将来を見越して、他社に先んじられる前に、既存事業の毀損を厭わず対応に取り組むことに。
【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、当時執行役員 新規事業開発室室長。
中途入社後、人事やマーケ、新型店舗開発、経営企画の後に、経営層に「組織構造を変えてくれ」と直談判したところ、自身が新規事業開発室室長に。
【デジタル新規事業の推進体制】
創業時の思い・自社戦略CaaSの一環・既存事業とのシナジーを起点に、新しいデジタル新規事業を企画。
新規事業立上げ時に「現業を否定して構わない、IDOMを外部パートナーの1社として見ても構わない」と経営陣から明確に言われていた。新事業に挑戦する経営陣のバックアップがあり、新事業を許容する人事制度や組織の壁を壊す環境があった。
新規事業の勝負は立ち上がってからが本番。立上げ後に顧客の反応を基にした事業自体の見直しや、訴求方法の見極めなど、事業が市場に合致するまで迅速かつ粘り強く検証と改善が繰り返されることになる。
その対応のために、人材に着目し、ITスキルなど備えた人材を積極的に社外から採用。NOREL立上げ後、NORELの2代目事業責任者は、2015年の中途入社組IT人材。
2015年9月、個人売買アプリガリバーフリマ(クルマジロ)を開始。
NORELは2016年8月サービス開始。、車の所有を利用サービスにリプレイスするウェブサービスを目指している。買い取った車をNORELで使用。ただNOREL専用在庫ではなく、販売と貸出は共通在庫。保有者の販路最適化は過去よりずってやっており、その機能拡張した形。開始3年で会員は3万弱まで増えたが、まだ事業は赤字とのこと。
GO2GO は個人間カーシェアを2019年4月に開始。サービス開始時点で 7000人以上の貸出車両のオーナー登録あり。IoTで運転状況をアプリで把握、位置車両トラッキングも。
中古車販売IDOMが総力戦で挑む変革とは?|ITmedia
NORELは自動車リースではなくウェブサービス|Response.jp
新規事業必要なのは「突破力」新規事業開発室|ITmedia
新スタイル提案 超短期カーリース「NOREL」
「リアル店舗の強み生かす」 ガリバー、個人間カーシェアに参入|ITmedia
■事例:クックパッド社「クックパッドマート」
上場ネットベンチャーの "デジタル×リアル" 事業への新規参入。
レシピサイト大手 クックパッド社による、実際の生鮮食品を扱う新規事業。生鮮食品をスマホ注文し、自宅近くの店舗や施設ロッカーで受け取れる生鮮食品ネットスーパー。
デジタルトランスフォーメーションというと、フィジカルな実業を持つ企業がデジタル 活用が多いですが、もともとデジタル企業(ネット企業)がフィジカル事業に参入するチャレンジです。
サービス提供開始から1年経過時点では、専用宅配ボックスの設置箇所は30箇所。
【DXの背景】
DXの背景として、社内では食品関連ECに再チャレンジしたい考えがあった(過去に参入するも4年で撤退)。料理レシピ・買い物と生鮮品流通・生産者の領域で。
既存の生鮮品を扱う企業(スーパーなど小売や既存流通、ネットスーパーなど)は、"専業主婦の母親が、日中 家にいる環境" を前提に買い物と料理を提供している。対して、"共働きで買い物時間なく、日中家にいない" という過去の前提とは異なる、現在増加している状態を前提に、サービスをデザインしている。
【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、新規事業担当部長。
学生起業の後、スタートアップ企業に転職。当該企業のクックパット買収に伴いグループ入り。当該企業の2代目CEO。当該企業が別企業に事業譲渡に伴い、クックパッドに残り新規事業担当部長に。クックパッドマートが自身5回目の事業立上げ。
最初の企画書は"使い方はECアプリ、動いてるのは買い物代行" というサービスECの1枚ペラの企画だった。
【デジタル新規事業の推進体制】
最初は3人(事業責任者、デザイナ、エンジニア)でサービス作りを開始し、様々な検証を行い、その半年後にはおよそ10人体制に。責任者は元ベンチャーCEO、他メンバーも過去に別の新規事業に携わってメンバーも多い。
事業スキームや登録店舗開拓、アプリや物流スキームだけでなく、IoT冷蔵庫や販売者むけIoTラベルプリンタ、ドライバー向けアプリなども開発。
当初はシンプルな買物代行サービスを想定し、検証に取り掛かった。目的価値検証できる最も簡単な方法を選んだことで、チーム発足後2週間で最初の検証テストに着手。
新規事業「クックパッドマート」の立上げの話
クックパッドがC2Cに本腰。26歳最年少部長の原体験|BI JAPAN
クックパッド レシピを前面にEC開始|日流ウェブ
クックパッドが食品ECビジネスに参入|TechCrunch Japan
新規事業のIoTプロダクト開発に必要なこと
リリース間近の新規事業「クックパッドマート」の立ち上げの話|開発者ブログ
新規事業のIoTプロダクト開発に必要なこと|開発者ブログ
新卒3年目の私が、新規事業で冷蔵庫を探して学んだこと|クックパッドマートnote
クックパッドマート事業責任者が語った舞台裏-新規事業の組織づくり手法|CNET
クックパッドマートの舞台裏--新規事業における組織づくり手法
イノベーティブな生鮮食品EC 「新しい仕組みの作り方」(前編)
イノベーティブな生鮮食品EC 「新しい仕組みの作り方」(後編)
クックパッドがネットスーパー開始から1年後の現状|Diamond
■事例:クボタ社「農業経営支援 KSAS(クボタスマートアグリシステム)」
創業100年超、売上1兆5000億円の大企業、農業機械メーカー クボタのデジタルトランスフォーメーション。
農業機械ではなく、クラウド農場経営管理・支援サービスを提供。製造業が「モノ」から「サービス」への業態拡大、「機械販売」から「顧客の経営・業務支援」まで提供範囲を拡大する、新規事業のデジタルトランスフォーメーション。
2014年に営農支援サービス「KSAS」を提供。農機IoTセンサーでデータを取得し、コメ農家の経営改善に生かすクラウドサービス。2016年時点で1300軒以上の農業事業者が利用。
【DXの背景】
デジタルトランスフォーメーションの背景にあったのは、日本のコメ農家は苦境にあり、コメ農家の生産性・競争力向上により、顧客の現状を食い止める必要性があった。
【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、現KSAS業務グループ長(当時は新規事業企画)。
農機営業、販売会社出向、製品企画を経て、新規事業企画を担当の後、農機第一事業推進部KSAS業務グループ長。
新規事業企画担当者と、技術部門の異なる研究対象の研究者4人が集まり、コンセプトを整理して企画書をまとめた(農機の自動運転も話題の一つだった)。
【デジタル新規事業の推進体制】
2011年に新規事業の種を探していたとき、社内の「食味収量コンバイン」の研究開発を知った。コメ刈り取りと同時に食味と収量を測定できる技術。この技術とデータの記録・分析により、農業経営の支援につながるのではと考え、2012年4月にKSASプロジェクトが発足し、同年12月に開発に着手。13年4月に事業化に向けた検討を本格化。2013年までフィージビリティスタディし、コメ食味の品質向上と安定化、収量の増加も認められた。
約1年かけシステム開発、最盛期には50人の開発メンバー。同社にとって、製品(農機)とITが密接に関わる初めてのサービス開発。業務部門が主導し、トラクタ技術部、車両基礎技術部、サービス部門、営業企画部、システム子会社など複数の部門や、顧客である農家(モニターユーザー)も巻き込んで推進した。コメ農家からのフィードバックは、ユーザーインターフェース・現場の事情に関するものが多かった。
KSAS提供開始の後、2016年に農業サービスの高度化を狙い、NTTグループと連携協定を締結。
クボタ-ビッグデータで農機需要つなぎ留めにIT駆使|日経xTECH
IoTで旨い米をつくるクボタ式農業[前編]|Insight for D
IoTで旨い米をつくるクボタ式農業[後編]スマホ生産管理を可能に|Insight for D
コメの“味”が分かるコンバイン|BigData Conference 2015
「入口から出口まで」のソリューション提供企業へ デジタル経営革命|日経 xTECH
https://www.ntt.co.jp/journal/1609/files/jn20160960.pdf
■事例:ストライプインターナショナル社「メチャカリ」
創業25年、売上1000億円、新興カジュアルアパレル大手のデジタルトランスフォーメーション。
ファッションIT新規事業 メチャカリ、2015年9月開始。スタートアップ企業エアクロ社がサービス開始した数ヶ月後に、真正面から既存アパレル企業が市場創造する新品ファッションサブスク事業です。2019年時点で有料会員数は1万3000人、ユーザーの8割が20-30代女性。
【DXの背景】
DXの背景にあったのは、一言で言えば、若者が服を買わなくなっている(2008年→2014年で4割減)ため。アパレル市場は縮小傾向にあり、若者のお金と時間はスマホにどんどん奪われている。若年層を取り戻すための良いアイデアがないかと考えたのがきっかけ。
当時、UberやAirbnbなど業界外ITベンチャーによる業界ディスラプトが話題。ITベンチャーにやられる前に、自分たちで新たなサービスをやろうという空気があった。
自社ブランドを企画・製造し、自社ECを持ち、ユーズド販売ECも運営しているため、ECの在庫・物流を転用しつつ、新品レンタルをすることができる。
【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、ウェブマーケティング部課長。
アパレル企業、スポーツECネット企業をへて、同社に転職。EC事業の後、メチャカリ立ち上げ、現メチャカリ部長。
海外のLe Toteを参考に、自社商品を新品でレンタルし、戻ってきたものを中古販売するビジネスモデルができるのではと、社長に提案。
【デジタル新規事業の推進体制】
事業構想は2014年末くらい。社長に企画提案後、2015年4〜6月にテスト実施、プロトタイプのサイトを作り、100名のお客様に使ってもらった。この結果をもとに値付けなどブラッシュアップした。2015年9月新サービスリリース。
ウェブサイトやアプリの企画制作はチームラボ社が担当。ローンチ後のAIチャットボット導入などもチームラボ社が担当。
在庫管理は、AMS社の在庫管理システムを利用し、倉庫・出荷・返品など業務運用もAMS社が担当。
月額5800円「洋服レンタル」にハマる人の正体|PRESIDENT
ファッションサブスク「メチャカリ」有料会員1万3000人突破 | WWD JAPAN.com
業界初ファッションサブスクリプション 「メチャカリ」
他業界に奪われたシェアを取り戻す「メチャカリ」提供する理由|TechCrunch
『メチャカリ』店舗獲得できないユーザー層を取り込む|サブスクマガジン
ストライプインターのサブスク戦略_有料会員数が1.3万人に|通販新聞社
ファッション×ITで事業拡大 「メチャカリ」黒字化までの3年間|MarkeZine
「3ヵ月継続で解約率が下がるから月額39円に」メチャカリ成功の秘訣|MarkeZine
「ファッションレンタル メチャカリ」チームラボが企画 制作を担当|teamLab
『メチャカリ』のバックオフィスにAMS独自システムを提供|CNET
パーソナライズスタイリングAIチャットボット”を導入|産経ニュース
大企業ソニーの、VC協業のデジタルトランスフォーメーション 。
超大手企業ソニーにて、スマートホーム領域参入となる、デジタルIoTデバイスのQrio Lock(スマートキー)。
投資育成会社WiLとの合弁会社で、2015年8月「Qrio Smart Lock」を、2016年10月「Qrio Smart Tag」を開発・発売した後に、2017年にソニーが完全子会社化。
【DXの背景】
米国ではGoogleがNestを買収して、スマートホームに参入。もしソニーがスマートホーム分野に興味持つなら、そのタイミング(Googleがデファクトを握る前)で仕掛けるべきだとWil側は考えていた。
投資育成会社WiLがソニーのSAP(新規事業創出プログラム)にアイデアを持ち込み、WiL 6割、ソニー 4割を出資する合弁企業を2014年12月設立。
(2013年に複数の大企業の出資310億円でWilが設立され、ソニーも出資元企業であり、Wilはソニーに直接提案できる立場にあった。)
【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、WiLのゼネラルパートナー(合弁企業の代表取締役に)。
2014年の夏にWillがソニーに話を持ちかけると、若手エンジニアが空き時間に、社内で使ってなかった暗号化技術を使ってプロトタイプを作り、ソニー社長に提案したところGOとなった。
2014年12月に合弁企業設立+クラウドファンディング、量産体制を整えて、2015年8月に「Qrio Smart Lock」を出荷という、大企業が絡む新事業として異例のスピードに。
【デジタル新規事業の推進体制】
Wil側が製品企画や販売、マーケティングを行い、プロダクトデザインと開発はソニーのエンジニアチームと共同で行う。無線セキュリティ暗号化技術など独自技術提供と開発サポートなどソニー側が行う体制・役割分担。
メーカーは物作りは得意だけど、インターネット企業に比べてサービス企画やその後の運営があまり上手じゃない。一方、量産や品質管理のノウハウは世界トップレベルで量産フェーズに大きな強みになる。
ソニーがスマートホーム事業に参入「MANOMA」ライフスタイル提案|CNET Japan
IoTの本質「Webな人」がソニーと作るメガベンチャー構想|エンジニアtype
Qrio Lock ネットビジネスの「技」をハードに活かす|月刊 事業構想
「Qrio Smart Lock」開発までの道のりとIoTに対する想い|SmartHacks Magazine
ソニー発のIoT企業がスマートホーム市場に見る勝機|BRAND TIMES
玄関の鍵が「子どもの見守り」になる仕掛け|東洋経済オンライン
ソニー、新規事業に社外のアイデア 手応えあり|日本経済新聞
■事例:リクルート社「エアレジ」
新規事業を数十年生み続けるリクルートの、リボン図ではない、産業フィジカル×デジタルのデジタルトランスフォーメーション。
飲食店の集客広告(ホットペッパー)を提供するリクルートライフスタイル社。ネット&リアル接点があり、領域(飲食、美容など)をまたぐ新規事業のエアレジ。
無料レジから始まったエアレジは、店内注文システムや受付管理、予約管理やバイトシフト、お店の売上管理など、飲食店の様々な業務支援に領域を広げています。2013年10月ローンチし、利用店舗数は2019年9月末時点で44万超。
【DXの背景】
デジタルトランスフォーメーションの背景には、リアルとソフトウェアの融合の観点で、GoogleなどITテクノロジー企業が競争優位性を活用できず、リアル接点を有するからできることを模索。「ローカル、リアル、店舗」などのキーワード。
【デジタル新規事業の主導者】
デジタル新規事業を主導したのは、リアルマーケティング開発グループ担当。
中途入社し、じゃらんの後に、ポンパレ立上げ担当。2013年にエアレジ開発担当。
ちなみに、事業立上げ前、社内では何年も前からレジ事業は複数の人から何度も起案され、その都度却下され続けていたそうです。
【デジタル新規事業の推進体制】
Airレジの開発は2013年4月から、5人ほどでスタート。開発時、副業で飲食店でアルバイトして実際にPOSレジ業務など行い、副業で飲食店経営する社員もいた。(POSレジ業務の課題や使い勝手をヒアリングをしても "毎日やる必要ある業務" と捉えており、改善のヒントが見つからない。実際に体験する必要があるため、アルバイトした。)
担当者に、美容室エステの予約管理システムの元企画者もおり、紙情報をデジタル化することで、業務負荷が下がることは経験・実証済みだった。
プロジェクト開始から3ヶ月後にプロトタイプのアプリ開発。導入1号店はリクルートOBが経営する店。当初は全員で営業し、10店舗ほどクローズドテスト協力してもらい、フィードバックやデータを得ていた。その時に、このプロダクトはいけると手応えを得た。
POSレジ新事業の企画が、却下されなかったのは、実際のアプリがあったからだろうとのこと。
ローンチ後、広く導入が広がったのは、リクルートグループの営業力含めた資産の力が大きい。ローンチ後2年で、5-6人のチームだったのが200人ほどのチームに拡大。
Airレジの構想と誕生秘話を探る | ウェブ電通報
Airレジ開発のこだわりと今後の展開 | ウェブ電通報
プラットフォームとしてのAirレジの可能性 | ウェブ電通報
「Airレジ」はリクルートになかったビジネスモデルへの挑戦|ダイヤモンド
「Airレジ」立ち上げの裏側|doda
リクルートの「力技」Airレジを立ち上げた営業パワー|ICC
商売の「当たり前」を変える POSレジアプリ経営支援|事業構想
0円でカンタンに使えるPOSレジ「Airレジ」|フードスタジアム
■STARTUP事例:シェアメディカル社「ネクステート」
聴診器デジタル化ユニット ネクステート。聴診データをデジタル化することで、データ保存・共有が可能となり、医療教育や遠隔治療への利用が期待されます。医者への負担軽減やスピーカー出力などの効果も。
【DXの内容】
デジタルトランスフォーメーションの内容は、過去200年大きな変化なくアナログだった補聴器に、デジタル化ユニットをつけることで、補聴器をデジタル化できるもの。
“聴診器”をデジタル化すると何が変わるのか|CNET Japan
■STARTUP事例:マイシェフ社「マイシェフクイック」
マイシェフ株式会社の出張レストランサービス「マイシェフクイック」。
飲食業界 × デジタルの新しいサービスです。
【DXの内容】
飲食経営者の暗黙の前提である「お客がレストランに来る」を疑い、「レストランがお客の家に行く」という常識の真逆のパラダイムを、デジタル活用することで実現したサービス。
1食4000円 出張シェフ 家族の記念日需要を獲得:日経クロストレンド
過去にない事業は、ビジネスモデル自体の検証や、顧客定義や需要創造から行う必要があり、新規事業を成功させる確率は極めて低く、ほとんどが失敗に終わります。
しかし、うまく需要と市場を切り開くことができたならば、新しい市場で大きく事業を伸ばすことができます。
デジタル活用した新規事業の創出事例は、まだ非常に少ないです。
取り組む企業がまだ多くないという理由に加え、新規事業の成功率は極めて低く、情報が一般公開される前に、社内で失敗に終わることがほどんとだからだと思われます。
新規事業の成功率は10%未満|大企業の新規事業 成功確率を上げるため大切なこと
■ ビジネスモデルの変革事例
UberやNetflixのようなディスラプティブなイノベーションが自社の産業を襲う前に、自社をデジタルで変革して、産業のイノベーションを牽引しようと野心的にDXに取り組む会社を紹介します。
自社ビジネスモデルの変革 を目的とする場合、社内外に全社的なDXの必要性を繰り返し訴え、DXの一連の取り組みを社長が主導する必要があります。
デジタルによる変革をやり遂げなければならないと、断固たる決意と勇気を持つ社長か、そうではないかが、運命の分かれ道。
よく "創業者・創業家社長は思い切った戦略を打ち出しやすい(サラリーマン社長は株主を気にせざるを得ず、短期的なPL思考になりやすい)"と言われますが、事例を見ると、創業者社長 or サラリーマン社長というのは、あまり関係がないとわかります。
■事例:SOMPOホールディングス
「事故後の保険会社」から「安心・安全をプロアクティブに提供する」方向に全社的に舵を切ったSOMPOホールディングス。
デジタルトランスフォーメーション責任者(CDO執行役常務)は、三菱商事出身でシリコンバレーのスタートアップで12年間活躍した人を外部から招聘。
CDO配下にデジタル3部門を設置。デジタル戦略部はデジタル技術を担い、ビジネスデザイン戦略部ではデジタル技術用いる新ビジネスモデルの具現化、ビジネスクリエーション部では生命科学やロボティックスなど5分野の技術で大学と提携などオープンイノベーションで新たな事業を模索。
このデジタル3部門と、SOMPO Digital Lab(東京、シリコンバレー、テルアビブ)が、過去の延長線上にないDXを推進している。
2016年からの2年で、損保事業の延長にある”持続的な事業創出”は、事業アイデア1000件以上検討し、実際に担当部署と商品化を目指すまで進んだのが42件、商品として世に出せたのは10件(ドライブレコーダー付き保険、AIスピーカー用いる保険料見積もりサービス、ウェアラブル端末用いる健康増進型保険など)。
一方で、"破壊的な事業創出"は1件のみ(イスラエル企業と協業しサイバーセキュリティ事業)に止まってしまったと。
その後は、LINEと業務提携したLINE保険や、個人間カーシェアリング事業「DeNA SOMPO Mobility」マイカーリース事業「DeNA SOMPO Carlife」という2つの合弁会社をDeNAと設立、駐車場シェアakippaを関連会社化。シリコンバレーのビッグデータ解析Palantirと日本合弁企業を設立なども。
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デザイン思考とアジャイル経営が企業活動の根幹になる|@IT
未踏の領域を進むSOMPOホールディングスデジタル戦略部
デジタル戦略 | SOMPOホールディングス
事業モデル自ら壊す損保改革、“壊し屋”はシリコンバレー仕込み | BI JAPAN
損保ジャパン日本興亜がデジタル顧客基盤|日経クロストレンド
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DeNAと損保ジャパンが異色タッグ 「0円マイカー」の衝撃:日経xTrend
駐車場シェア参入 akippaを関連会社化|ITmedia NEWS
データ分析企業「Palantir」がSOMPOと新会社設立|CNET Japan
■事例:コマツ
製造業のDXで、日本で最も進んでいるコマツ社。1999年開始の機械稼働管理システム「KOMTRAX」でGPS管理するコマツ建設機械はいまや世界で30万台以上。
1990年代後半、盗難油圧ショベルによるATM破壊強盗が多発し、その盗難対策としてGPSを付ける案から始まったそう。2001年に、標準装備で2%の利益が消えるが、KOMTRAX標準装備すると社長が決断(当時は会社は800億円赤字)。GPS有償オプションでなく、標準装備として新しいビジネスモデルを作った。
2008年には世界初の無人ダンプトラックシステムを開始。
2015年に自動化ICTブルドーザーやICT油圧ショベル、ドローンなどを活用するスマートコンストラクション開始。
2017年に建設生産プロセス全体をつなぐIoT基盤プラットフォームIoT LANDLOG開始。
2020年までに、建設会社向けにダンプトラック配車サービスも開始する予定。
いずれも、インダストリー4.0やIot、DXといった流行り言葉を意識したものでなく、顧客の問題解決を起点とする新規事業やサービス。
建設機械の革命「KOMTRAX」誕生の足跡|by iX
無人ダンプトラック運行システム10周年 稼働台数100台超達成|小松製作所
コマツ、建機のIT化から見える自動運転の未来|日本経済新聞
コマツが描く「未来の建設現場」、ドローン測量や建機の遠隔操縦で「現場」はどう変わる? - INTERNET Watch
IoTで日本企業は今後の成長戦略をどう描くべきか | SAPジャパン
コマツのIoT戦略は「顧客志向」が成功の源泉|MONOist
日本発IoTの進捗度は10%、ランドログ社長が語る現在地と覚悟|日経xTECH
コマツ、ダンプの配車サービス 建設会社向け3年以内に|日本経済新聞
■トヨタ
デジタル化の大波がやってきた自動車業界。GAFAとの直接的な競合関係になるトヨタも、食われる前に食ってやる勢いでデジタルを取り込みます。
「自動車会社」から、「モビリティカンパニー」にモデルチェンジすると社長が明言し、ソフトバンクとの提携をはじめ、トヨタコネクティッドやトヨタ・リサーチ・インスティテュート、シリコンバレーのトヨタAIベンチャーズや北米DX&モビリティなど、コネクティッド・自動運転・電動化に向けた多領域の取り組みを進めています。
技術中心・トヨタ本体の内容のみならず、トヨタグループとしてシェアリング系サービスも進め、自動車サブスク「KINTO」、トヨタ販売店によるカーシェア「TOYOTA SHARE」、トヨタレンタカーによる無人貸渡しレンタカー「チョクノリ!」、社用車のシェアリング「MONET Biz」なども開始。
100年に一度の大変革の時代「モビリティカンパニー」にモデルチェンジする
トヨタとソフトバンク提携、避けられぬ製造業のサービス化|DIGITAL X
「CASE」が自動車産業にもたらす脅威とビジネスチャンス|HBR
トヨタ×自動運転、ゼロから分かる4万字解説 | 自動運転ラボ
「TOYOTA SHARE」/「チョクノリ!」の全国展開を開始
法人向けサービス「MONET Biz」の提供に向けた実証実験|MONET Technologies
トヨタがここまで振り切れるのは、創業家社長という理由の他に、豊田章男氏が20世紀末のインターネットのフロンティアに、いち早く飛び込んだ一人だったから、だと想像します。
トヨタの顧客向けインターネットサービスGAZOOを主導したのが豊田章男氏。1998年サイトオープン(楽天創業の翌年、サイバーエージェント創業と同時期にGAZOO.comを開設)し、2000年にはなんと旅行や書籍、家電やゲームなども売っていた。
ちなみにGAZOOショッピングでは、今でも米が売られており、随分前からサブスクリプションモデルが採用されているようです。
GAZOO.comが目指すもの|GAZOO
GAZOOショッピング お米定期便 ショップ | GAZOO.com
そのようなデジタル化の流れと並行して、その流れに逆行するように、スポーツカーのスープラを17年ぶりに復活させました。
時代に逆行するような、スープラ17年ぶりの復活。その一番の理由は「クルマが好きだから」だそうです。控えめに言って、最高ですね。
新型スープラがデビュー!豊田章男社長のアツいプレゼン|MOTA
「私の最も親しい友」“カーガイ”豊田章男社長が熱く話す、新型スープラへの思い
■事例:ブリジストン「B-TAG、TreadStat、Tirematics」
良いタイヤ製造の時代から、技術成熟によるタイヤ単体のコモディディ化・低価格化になり、デジタル技術を使うソリューション提供にビジネスの軸足を移すうという経営判断に。
価格ではなく、タイヤ関連のトータルコストやパフォーマンスで勝負する作戦に。
顧客にタイヤをレンタルし、メンテナンスや管理、適切なタイミングで表面ゴム張替えする。安全性も向上し、非稼動ロスも削減。顧客はタイヤ在庫やローテーション・修理を考えなくて良い。
データ収集と分析により、タイヤの故障原因や傾向を捉え、タイヤ使用の提案や商品開発にも生かしている。
南米や豪州の巨大鉱山の超大型トラックタイヤ向けに、IoTセンサー「B-TAG」と、使用状況に応じたメンテナンスプログラム「TreadStat」を提供。
バスやトラックにも装着できるようB-TAGを進化させ、車両位置情報などリアルタイムモニタリング「Tirematics」を提供。
ブリヂストン タイヤ製造販売からタイヤソリューション事業者への変革|日経xTECH
ブリヂストンの変革 「タイヤを売らずに稼ぐ」ビジネスとは|ITmedia
IoTの進化 がもたらしたタイヤのイノベーション|ビジネス+IT
就職情報リクナビや中古車情報カーセンサー、結婚情報ゼクシイや飲食ホットペッパーなど、数十種類のメディア事業を持つリクルート社。
2000年ごろは全て紙媒体でしたが、2010年には全ての事業がWebサービスになり、今から10年以上前に、コア事業群のデジタルトランスフォーメーションを終えてしまっています。
その上で、既存デジタル事業でのAI活用や、既存ビジネスとは異なる新しいデジタルビジネス(エアレジとかスタディサプリとか)も多数生まれています。
2011年には、自社コア事業のディスラプターとなる可能性のある米国indeedを「誰かに破壊されるくらいなら、自分たちで壊しに行け」とばかりに買収。自社のコア事業である人材採用広告市場の競合となるindeedを日本でも展開し、大きく事業を伸ばしています。(実際に競合のバイト情報 an は2019年に事業終了)
2018年には、求人企業レビューサイトGlassdoorを買収。
リクルートが "デジタル","グローバル" に舵を切った契機|ビジネス+IT
世界で生き残るためのデジタルトランスフォーメーション|MarketingBase
■ 補足:業務やプロセスの効率化・改善・高度化事例
デジタルトランスフォーメーションに取り組む企業のほとんどが、既存業務やプロセスの効率化や改善目的のDXを行なっています。
事例は数多ある中で、多領域での業務やプロセス改善・効率化に取り組む事例として、関西電力事例を紹介します。
■事例:本格的に業務やプロセスの効率化・改善・高度化に取り組む関西電力
DX加速させる目的でアクセンチュアとK4 Digital設立した関西電力(関西電力80%、ACN社20%)。
当該会社の取り組みは「設備関連業務の効率化・高度化」「顧客接点業務の効率化・高度化」「オフィス業務の自動化・効率化」とあり、
つまりは「既存業務やプロセスの効率化・改善・高度化」であると、極めて明確に定義されています。
当該会社の経営陣は、代表取締役:関西電力のIT戦略室、取締役1:同 IT戦略室、取締役2:関電システムソリューションズ常務取締役、取締役3:アクセンチャ と、完全にIT畑な方々であり、既存業務やプロセスの効率化や改善のための体制です。
"IT部門・情シスが主導するDXは①業務やプロセスの効率化・改善・高度化 を目的とする内容になる" というセオリー通り、組織の実行能力と事業の目的や戦略とが、きちんと整合されている、素晴らしい事例だと思います。
(仮にもし、この体制で「新規ビジネスの創出/ビジネスモデルの変革」が目的にされてしまうと、わけがわからないことになり、組織が生まれながらに失敗を義務付けられているような状態になってしまいます。)
新会社 K4Digital株式会社 設立について|関西電力.pdf
インタビュー記事では、副社長は「第一に、業務プロセスのデジタル化による「生産性の向上」、第二に、エネルギー・非エネ領域における新サービス開発や新規事業立上げなどの「新たな価値の創出」に取り組みたい」とコメントしています。
新サービスや新規事業に取り組む時には、当該会社の経営陣もおそらく刷新(IT畑の人でなく、新規事業畑の人に)されるのでしょう。
関西電力 デジタルトランスフォーメーションへの挑戦|アクセンチャ
2019年公表の中計には、4つの大方針の一つとして「新たな価値創出に向けてDXを実現します」とあり、DX取組状況を社外に知らせるPDFまであります。
実施中プロジェクトは、既存業務やプロセスの生産性向上380件、新たな価値創出20件あるらしいです。設備のIoT遠隔監視や数値に基づく最適化は、社内目的ですが、将来的に他社への外販も目論むそう。