OYO LIFE(オヨ ライフ)|インドのホテルスタートアップ OYO
OYO LIFE(オヨ ライフ)は、世界最速で成長するインドのホテルスタートアップ「OYO」が提供するサービス。
■OYOとは
・インドのホテルスタートアップのOYOは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなどから、10億ドル(1100億円強)の資金調達をしたことで、日本でも知られるように。
・創業5年で、時価総額約5000億円と、日本人には想像のつかない世界観です。
・事業規模は、2018年9月時点で全世界で客室数は27万(インド350都市で13万以上、中国171都市で12万以上、その他にマレーシア、ネパール、イギリスなど)。
・四半期での増加数は14万室で、2020年末には OYOの保有する客室数が、米マリオット・インターナショナルの全世界の客室数を抜く見込みとのこと。
・従業員数は約8500人で、うち700人超がITエンジニア。
・AIなどテクノロジーを駆使して、ホテルそのものの経営のあり方でデジタル革命を起こそうとしている。
■OYOの創業者
・創業者のRitesh Agarwal氏は、19歳でOYO創業。
・18歳で大学中退し、ティールフェローシップに参画。宿泊需給データをAI常時分析するテクノロジーを既存のホテル業界に持ち込み、2013年に起業。
■OYOのビジネスモデル
・airbnbやbooking.comのようなOTAとは違い、ホテル客室在庫を自分たちで持つ。
・厳密には自社保有ではなく、無名エコノミーホテルを自社ブランドに取り込み(提携・加盟)、再生してOYOブランドの客室在庫とする。
・提携するホテルから加盟料を取らず、宿泊料金から一定ロイヤルティを徴収する仕組み。ホテルの客室改装料を一部負担することで、スピーディーな提携先獲得に成功。
・インドにはチェーンでない独立小規模ホテルが大多数で、ほとんどがオンライン予約に対応していない。ホテルオーナーとしては、投資不要で、稼働率の向上と売上につながるメリットがある。
・インドのホテルはクオリティにバラツキが大きく、OTAが成り立ちづらい。加盟の形でホテルを取り込むことは、ホテルのクオリティの向上と均質化→顧客満足度の向上、にも役立つ。
■OYOのポジショニング
・OYOは、宿泊・住宅領域における AmazonやUberのポジション。
・ネット業界では Open marketplaceモデルが好まれてきました。
ー既存プレイヤーが大量にいる場合(ホテル、中小小売事業者)に合う。
ーその情報を圧倒的に束ねる。
ー掲載する既存プレイヤーから、彼らの販促費をもらう(手数料や広告費)。
ー本質的に、既存プレイヤーが提供する顧客価値には手を加えない。
ー本質的にインターネット企業(領域特化の情報ポータル)であり、サーバーで動き、資本効率が良く、利益率が高くなる。
・Open marketplaceは、booking.comのように既存法人事業者の情報を束ねるものと、airbnbやメルカリのように経済価値を持たなかった個人が、経済価値化するもの(CtoCマーケットプレイス)も。
・OYOは、Fulfillment-led capabilities モデルと呼ばれるそうです。
ー既存プレイヤーの品質が低い・バラツキ、不十分・片手落ちの場合に合う。
ー本質的に、この立ち位置にいる企業(OYOやUber)が、顧客価値をデザインする。
ー顧客価値やプロセスの一部を、この立ち位置にいる企業が受け持つ。
ー既存プレイヤーから販促費をもらうのではなく、売上を既存プレイヤーと分け合う。
ー本質的に既存事業者×デジタル(既存事業をデジタルで進化させる)になり、サーバーだけでは成り立たない。顧客価値やプロセスを成立させるリアルコストが発生し、利益率は低くなる。
ー顧客体験価値が変わる。
ーOpen marketplaceの立ち位置の企業は、競合ではなく、協調相手となる場合も。
※ちなみに、当社の出張レストランサービス「マイシェフクイック」も、OYOと同じくFulfillment-led capabilities モデルです。
■OYO LIFEとは
・インドやホテルで爆速で拡大・提供するOYO ROOMSではなく、日本では 敷金・礼金・仲介手数料なし即入居可能な賃貸サービス OYO LIFE を提供するとのこと。
ー敷金・礼金・仲介手数料ゼロ。
ー家具・家電、Wi-Fi、電気ガスインフラ完備。
ースマホで契約から退去まで可能。
ー3日間の「住み試し」可能。
・2018年11月に日本拠点が立ち上り、4ヶ月で社員は60名以上とのこと。
■スーモやホームズとの違い
HPでは、「ホテルのように部屋を選ぶだけ」、"旅するように暮らす”という未来をアピールしている。
しかし個人的には、インターネットやスマホ・スーモやホームズが登場しても何ら変わらなかった賃貸不動産業界の黒船になるのでは、と想像。
<スーモやホームズが出ても、結局20世紀から変わってないこと>
・スーモやホームズで物件見ても、仲介会社の店舗に行く必要がある。しかも店舗では、見た物件はおとり物件だったと腹を立てることが多い。
・入居時、なぜか住む側が「礼金」という、住ませてもらってありがとうというお金を払う必要がある。
・ 長期で利用する(住む)と、長期割引どころか、なぜか2年に1度更新料を払わされる。
・(運が悪いと)住み始めてから、たいへん居心地が悪い場所だったと、後悔する場合がある。
OYO LIFEにより、このような点が変わるならば、10年後には賃貸不動産業界が激変している可能性があるのでは、と想像します。
(不動産に関連する法律や規制などは、全く分かっておりません)