"非連続のイノベーション" を生み出す人材になるために
不確実な未来に直面し、求められるリーダーシップが変化している。
過去の延長線上の改善ではなく、非連続の成長・非連続のイノベーションが一層求められるように。
(このブログエントリーは、経営者の“かかりつけ医”として200人以上の経営者を支援するプロノバ岡島氏のインタビュー内容をまとめたものです。岡島氏は、次世代経営者育成、イノベーション創出人材育成支援のプロ)
■社長に 先見性・哲学・覚悟はあるか
どの会社でも「イノベーション」「非連続の成長」とよく言うが、実際には、単なる今の延長線上の活動にとどまる会社が多い。
そのような中で、本気で非連続のイノベーションを生み出すべく、組織や人作りから変えようとする会社はある。それができる会社・できない会社は、一言で言えば、社長次第。
社長に先見性・哲学があり、実行する覚悟とコミットメントがあれば、できる。
なければ、できない。
■顧客インサイトをいかに捉えるか
過去の延長線上の改善は、多くの企業で普通に長年にわたり無意識にやっており、それが習い性みたいになっている。失敗しないよう、効率的に課題解決するメカニズムが、大企業の従業員の体の中に染み付いている。
過去の延長線上をする場合は、これはこれで良い。
しかし、今後必要度が高まるのは、破壊的イノベーション・非連続の成長を引き起こせること。これは、効率的な課題解決メカニズムとは、全く違う。
そこでのキーワードは、顧客インサイトいかに捉えるか。しかもチームで顧客共創することが特に重要になる。
顧客の洞察・市場の洞察・社会の洞察を見つけ出し、越境して離れた領域をつなぎ(新結合)、既存のバイアスに囚われず、顧客も巻き込みながら、インサイトもとに新しい顧客価値の再設計ができるかが、勝負を分ける。
過去の延長線上ではい、見えていなかったニーズ・サービス・プロダクトは、そうしなければ見出せない。
会議室でディスカッションして、企業視点の都合で勝手にどれだけ妄想しても、顧客から離れたところでは顧客インサイトは見えてくるはずがない。
■非連続の成長を生み出すリーダーを、輩出する仕組み作り
・不確実な時代に意思決定することが求められるリーダー、非連続の成長を生み出せる人材は、勝手に生まれない。"戦略的かつ計画的"に生み出される、仕組みづくりが必要。
・それができる会社・できない会社の違いは、一言で言えば、現在の社長次第。本当に社長の先見性とコミットメント次第。
・現在の社長が、哲学や勇気、コミットメントがなければ、諦めるしかない。
・10年後、15年後の社長を作るには、目利き・抜擢・島流し。
・目利きは、社内では評定が非常に低いが、大化けしそうな人材をとにかく探す。視点に非常に特異点のある、ものすごく変わった人。非連続のイノベーションを引っ張るのは、優等生は無理。
・中東に飛ばしたり、M&Aした会社のPMIの責任者に据えたりする「島流し」。不確実な中で、トップとして最終意思決定する機会をひたすら増やす。
・産業構造もビジネスモデルも違うものを作っていってもらう、非連続の成長を生み出す人は、このような仕組みで中長期で輩出する仕組みが必要。
・現在の経営陣としては、新規事業リーダーにポテンシャル人材を抜擢する経営資源配分が求められる。
■若いうちから、意思決定をせざるを得ない状態に
・リーダーシップと意思決定の数は相関する、私が決めないとしょうがないという経験。座学などでは学べない。修羅場体験をどれだけくぐったか。
・変革は、今までの習慣と違うことをやることなので、みんなやりたがらない。20代・30代の人は、意思決定の場を自ら勝ち取りに行く必要がある。
■新しい時代のリーダーに求められる10要件
●課題設定力、先見性、仮説構築力、大局観
連続成長時代は、効率的な課題解決が求められた。
一方、非連続の成長時代には、自ら課題を見出し、課題を設定する力が、勝負を分ける。
●変化抽出力、変化適応力、カオス耐性、胆力
イノベーションは、自己否定にもつながる。新規ビジネスを育むために、社内の反対者や成功勢力に説明し、納得感を醸成して巻き込めるか。
●素直さ、伸びしろ、学習能力
破壊的イノベーションを実現するために、自己革新も厭わない素直さ。環境変化への柔軟な適応、他者からの助言、他業界の事象を学び自社戦略に活かせるかが問われる。
●自己効力感
やったことないことに対して「私ならやれそうだ」と思える力が自己効力感。未来の自分に対する自信。修羅場体験をくぐり抜けた経験が自己効力感につながる。
●多様性受容力、越境力、領域をつなぐ力
イノベーションは、離れた領域を新結合することで生まれる。意図して、別の世界に飛び込み学びを得たり、異能の人材と交流することが越境力につながる。
●意思決定力、実行力、仮説検証スピード
不確実な状況で、不確実なことを意思決定する能力が重要。どう選択しても、大きな副作用が想定される事案で意思決定する力、タイミングをとらえる力。これは先天的な能力ではなく、経営トップとして意思決定した場数でしか鍛えられない。
これら要件を手に入れるために、難しい修羅場に、自ら飛び込むことを心がけたい。社内評価の上がる仕事ではなく、厳しい体験を選ぶ。
傍流に自ら飛び込むのもオススメ。本流部門の経験が長い人は、失敗回避の思考回路がより強くなり、イノベーションは生み出せないから。
■素養:新規事業に向いている人
・ずっと花形部署にいる人は、ゼロイチ人材になりにくい。
・左遷されたような辺境部署、中途社員、外国人など、保守本流から離れた所にゼロイチ人材はいる。
・ゼロイチになりやすい人の判断基準
ーやんちゃな人。誰もが無理と思った案件を、無理を通してやりきってしまう人。
ー破天荒だけど、なんか憎めない。荒削りだけど、実行してしまう人。
ー視点に特異点があり、物事を進められる。
・ゼロイチの可能性のある人材に、どういう経験を積ませるべきか。
ー35歳以下、できれば30歳以下の頃に、新規事業や小さめ海外子会社社長や買収企業統合の責任者など、経営者の機会をチャレンジさせ、そこで意思決定の場に立ってもらい、どんどん失敗してもらう。
ー挑戦の数を死ぬほど増やすことで、何かを生み出す。ゼロを100回繰り返したら、やっと1が生まれるかどうか。
ー重要なのは、逃げ場のない立場で、意思決定の場数をいかに踏ませるか。
新しい時代の「リーダー」に求められる10の要件|リクナビジャーナル
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