【発想力 要約】「0から1」を生み出す方法|大前研一
大前氏の「0から1」を生み出す発想法。本書では15個ありますが、その中で使えそうなものサマリー。
■戦略的自由度
・大抵の技術者は、技術の差を「差違化」だと思い込む間違いを犯す。
・そのような技術の差は、消費者からするとどうでもよく、顧客価値の差はない。
・ここに、ユーザーは何を求めているか、の視点を持ち込む。
・技術者は往々にして「自分たちの最高技術をユーザーに届けることがすべて」と勘違いしている。「自分たちがユーザーに何を届けたいか」で発想してしまっている。
・競合より技術的に優れたものを作ろうとする、無意識の強いクセがある。
・そうでなく、1ユーザーは何を求めているか、2その求めのためにどんなやり方(検討の軸)があるか、3軸に沿ってどんなことができるのか、検討すれば良い。
■コーヒーメーカー開発例
・最初は、濾過方式かドリップ式か、大型か小型かの、4つのどれかという、矮小な議論に終始。
・そこにユーザーは何を求めているかの視点を持ち込む。
・行き着いた答えは単純に、美味しいコーヒーだが、当初の4つのどれも、美味しいコーヒーをどう淹れるか、全く議論されていなかった。美味しいコーヒーの味を決める要素が何か、誰も考えてもいなかった。
・調査検討の結果、一番の決め手は水質、他にはコーヒー豆の粒揃い、豆を引いてから熱湯注ぐまでの時間が重要と。理想のコーヒーメーカーの方向性が固まった。
・やるべきは競合比較ではなく、ユーザーが求めていることは何か?、自分たちはそれを十分提供しているか?、ユーザーが満足していない部分の原因は何か?、それらを解決するには、どういう方法があるか?、の問いを、この順番にぶつける。
■薬の開発例
・新薬開発は数百億以上、10年以上かかる。
・新薬開発にあたり既存の薬に目をつけた。既存薬の応用は厚労省の認可を得やすい。
・製薬会社全員に、1年間、自分の体の異常、不満や不快感、現象を書き出すよう依頼。つまり社員をユーザーに見立てた。
・1年のデータを集約すると、意外なことわかった。病名がないような、ちょっとした不快感や不満が非常に多い。頭痛や胃痛というカテゴリーに分類できない症状が大半。病院に行くほどでないが、不満や不快感。
・こういう症状に対して、製薬会社はなんの薬も用意できていなかった。
・それらまとめを新薬開発部隊に見せると、治す方法論がいくつも出た。しかも既存薬や既存の組合せでできるアイデア。
・最終的に、いくつかの薬を一般用医薬品として世に出した。多くの利益を得た。
・ポイントは、莫大な開発費を使っていないこと。
・ユーザーの目的を把握することは、思った以上に難しい。
・またユーザーの目的は、時代によっても変化する。
・会社として何を提供したいか ではなく、ユーザーは一体何を求めているのか、と考える視点を変え、ユーザー側から発想するのが重要。
■バリューチェーンにおける自社領域の拡張
・アービトラージを可能にする条件は、情報格差。IT技術発達による、情報格差。
・例はユニクロ。自社デザイン、素材開発、中国直製造、自前店舗販売。ユニクロと客の間がほとんどない。
・ただ中抜きは、ビジネスモデルに賞味期限があり、ほどなく真似される。
・中抜き始めとするアービトラージの発想ポイントは、業界常識を疑うということ。ユニクロに中抜きは、当時は業界の常識に反する発想。
・同じ業界に長くいると、自分はその業界に詳しいと過信し、学ぶ心をなくし、耳を傾けることをしなくなりがち。
・まさに固定観念に捉われている状態であり、それは、これまでの発想から抜け出せないということ。
・私たちは誰しも、常に固定観念に捉われている。固定観念の外に出るためにこそ、情報を活用すべき。
■非稼働固定費を活かす付加価値
・固定比率の高い業態で、曜日や時期により変動が大きい(非稼働が発生しやすい)ビジネスに向く考え方。
・例えばクリーニング店は、クリーニング機材の混雑は店や場所により異なり、暇な時は機械が稼働してないことも。これらを束ねてお互いに機械を融通。
・例えば遊園地は、土日祝は混雑、平日昼間はガラガラ。メイン顧客をシールド化し、特定ターゲットのみに割引やおまけ提示。
・固定費は遊ばせておいたら金を生まない。遊ばせるくらいなら、少しでもいいから費用回収する、そこにアイデアの芽あり。
・シネコン、劇場、レストラン、ホテルなどありえる。
■ラストミニットドットコムの例
・独身、彼女あり、金ありのロンドンの大企業ビジネスマンがターゲット。金曜夕方にメール。
・パリの五つ星ホテル、航空券、ディナーをパッケージ、超格安。レストラン席もキープ。
・稼働してない固定費をパッケージ化。一日前なら、ホテルも航空会社もレストランも、空きより格安でも稼働する方が良い。
■シリコンバレーの生まれたばかりのスタートアップをパクる
・Fast500に出るような、新しいスタートアップを注目。何かの兆しがあり、イマジネーションを得られる。
・世の中で起きているとても小さな現象・兆しを観察し、ただ単にパクるのでなく、その先を構想しつつ、パクる。
■使えると誰も思いもしなかったものを、有効利用する
・地下鉄、空中権、二酸化炭素の排出量取引などのように、元々使えると誰も思ってないものを、空いていると定義し直して、利用する。
・このような発想は単純に見えるかもだが、実際は簡単ではない。
・それは元々認識されないから、パラダイム転換が必要。
・最近の例はウーバーやairbnb。他人の車をタクシーにする、一般宅の空き部屋をホテルにするなど、誰も考えもしなかった。
■他人の立場に立つ発想「もしあなたが○○だったら」が思考を変える
・人の思考には、思い込みとクセが染み付いてしまっている。
・新しい発想には、思い込みとクセを意図的に排除しないといけない。
・実は「自分」という存在は非常に面倒で、「自分のことは自分が一番知っている」と過信しているケースが多く、実際の自分や自社のことがわかっていないもの。
・だから自分の問題に関してイノベーションが出てこない。
・他人になり変わる発想法。自分のことだと頭が固くなってしまうが、他人のことだて気が楽になり、自由な発想をしやすい。
・対象企業の現状や課題、業績の数字や変化を正確に把握した上で、どのような戦略で事業を進めるか発想する。
・このやり方で発想を鍛える場合、できれば4-5人でやりたい。互いに意見を言い合うことで、それだけ思考回路も増える。
■構想力 あなたには何が見えるか
・大きくビジネスをかえるには、何よりもまず構想を思い描く力が必要である。
・最初から何かあるところにアイデアをプラスすることは難しくない。だが0から1を考えねばならないとき、構想力を問われる。
・構想こそ、0から1を生み出す発想力・イノベーションの要である。
■シティバンクの例
・1984年のceo は、これからは10億人の口座がないとリテールで生き残れない。だから10億口座何としても達成せねばならないと構想。
・そこから、携帯電話の電子ウォレットやインドの低預金口座サービスを作った。
・10億人の口座という構想があったから生まれた、過去の延長線にない新しいアイデア。
・構想は、他の人には見えないものを、具体的に頭の中で絵にする力ともいえる。ただの思いつきではなく、いくつかの事実や兆し、それらもヒントに、壮大な絵を描く。
■新たな市場を創り出す1〜4
■新たな市場作り出す1 :感情移入
・新たな商品や画期的なサービスが生み出される時、根幹には感情が横たわっていること多い。
・ユニチャーム社長は生理用ナプキンをつけて営業に行き、感触を確かめた。
・ナイキのフィルナイトはウッズに興奮して、取締役会の全反対を押し切って、大学生ウッズにナイキ収益の4分の1を占める額で7年契約を取り付けた。
■新たな市場作り出す2:どんぶりとセグメンテーション
・業界の常識の真逆に振り子を振ってみる。
・どんぶり業界なら、顧客セグメントして個別ニーズに合うサービスを出す。
・逆にセグメンテーションが進みすぎてユーザーを無視した細分化がされていたら、一歩引いてどんぶり発想を持ち込む。
■新たな市場作り出す3:時間軸をずらす
・購入時の価格比較でなく、時間軸をずらしてトータルコストで提示するアプローチ。
・例えば、1000万円の高級車は、購入に躊躇するが、5年後に売れば少なくとも600万円で売れるよとなれば、頭の中で400万円÷5という式にすり替わる。
・例えばGEヘルスケアは、高額CT機器に、24時間365日のリモートメンテシステムとコールセンターつけた。これにより、CTダウン時の損失の最小化という顧客価値た不安軽減をつけた。
・インターネットや新しいテクノロジー活用により実現したもの。
■新たな市場作り出す4:横展開
・同業界からではなく、横展開(別業界から学ぶ)により、他にない強さを手に入れる。
・別業界に学ぶ Zaraが業界常識を疑い、デザインから店頭までの時間を短縮するために、学んだのはトヨタとフェデックス。
・メキシコのセメント会社は、フェデックス、宅配ピザ、救急車を研究した。