出張レストランサービスのマイシェフ社長ブログ

個人向け出張レストラン・出張料理 "マイシェフクイック" の社長のブログです

【独創はひらめかない 要約】素人発想、玄人実行の法則|金出武雄

カーネギーメロン大学教授にして、人工知能の権威でもある金出氏の書籍「独創はひらめかない」。
ロボット研究する人で金出氏を知らない人はモグリと言われるほど、著名なイノベーター。

 

f:id:smasa0810:20201103161630p:plain

 

・成功する考え・発想の多くは、極めて単純明快なもの。アメリカの著名な学者は、世の中にごく普通に存在する問題を取り上げる。

・発想は、単純、素直、自由、簡単でなければならない。素直で自由な発想を邪魔するのは、なまじっかな知識(知っていると思う心)である。
・専門家というのは、その領域のパターンを習得し、よく知っているだけに、発想を生む視野が狭くなる。
・もともと発想は、「こうあってほしい」「こんな具合になっているのではないか」という希望や想像から生まれる。
・ただ、発想を実行に移すには知識がいる、熟練された技がいる。

 

■1章:素人のように考え、玄人として実行する

・真面目な人は失敗しないように一つ一つのステップを積み上げていく。しかし、アイデアを生んだり、独創技術の開発には、極端に言えば荒唐無稽というか、つまり思考が飛躍する必要がある。

・研究開発に必要なのは「素人発想、玄人実行」。この時に難しいのは、専門家としての知識、つまり玄人としての成功体験を疑うこと。
・物事を推し進めるには「考えるときは素人として素直に、実行するときには玄人として緻密に」の両方を併せ持ち、使い分けなければならない。
・そのためには、玄人として築いてきたものでも捨てねばならないことがある。成功できるかの分かれ道は、捨てて変える決断力・勇気があるかないか。
・「成功から学ぶ」「失敗から学ぶ」ことは誰もが考えるのが、実は「成功を疑う」のが一番難しい。

・創造は省略から始まる。
・世の中全ての問題を最も一般的に解くのは不可能。ちょうど良い範囲に問題を限るというやり方が、研究の構想力であり知的能力。
・問題は、その定義ができたら、その60%くらいは解けている。

科学史や技術史を見ても、誰かが以前に考えたが、当人の実行力不足、追究の仕方が中途半端、その時点で使える技術が不十分ななどの理由で、実を結ばなかったものは極めて多い。
ベンチャー企業成功の条件は、逆説的に言えば、皆が考えるようなことをやること。皆が考えたが、誰もできなかった、思い切ってやらなかったようなことが成功する。
・誰も考えたことがないものを商品化しても、社会は心の準備ができておらず、価値があることに気づかないもの。

 

■2章:コンピューターが人にチャレンジしている

・思考力、判断力は問題解決に挑戦することで伸びる。
・本の中にある答えを見つけるのが問題解決ではない。現実の問題を自分で考えることから、様々な疑問が生まれ、それがテーマになる。現実の問題を実んの頭で考えて、なんとかするという訓練が必要。
・定理を発見した学者は、現実の例から、「こういう仕組みがあるのではないか」と考えて定理を発見したのだ。

・創造力・企画力の土台は記憶力である。
・知覚、思考、行動の源は記憶である。企画力や創造力を働かせようとしても、道具や材料になる知識や情報がなければ何も始まらない。
・記憶力には、覚える力と、引き出す力の2つがある。いくら覚えても、引き出せなければ役に立たない。しかし、覚えてないものは、引き出しようがない。

・どこに何があるかを連鎖的に推理する能力が最も重要な知能の力。頭の中で絡まっている知識を解きほぐし、どれとどれが関連しているかを見出したり、一見関係なさそうなところで関連づける力。

・一度身についた思考の枠組みから考え方を飛躍させるのは難しいが、枠組みに凝り固まってしまうのを防ぐには、日頃から未知のものに触れておくこと。未知に触れる最も良い方法は、自分の専門外の人の話を聞き、彼らと話をすること。
・どんな分野の人でも、活躍している人は、その分野についての問題を抽象化して考えられる人である。分野は違えど、抽象化された思考法は共通している。
・そのような他分野の人と話す際、自分の専門分野の知識や経験を抱えて出ていくことが大切。

 

■3章:自分の考えを表現し、説得する

・聴衆の関心が高いのは話の初めのため、前置きなしに、結論つまり一番面白いところを早く話すのが良い。
・ベストファーストで話す。最小限の前置きしか言わないと、自然と話がシンプルで簡単になる。

・まず結論や結果を先に示し、興味を持たせてから説明するのでなければ、聴衆は聞いてくれない。
・説明して納得させるのではなく、納得させてから説明せよ。説明は、わからせるためのものではない。

 

■4章:決断と明示のスピードが求められている

・日本に求められるのは知のスピード。重要な場面ほど、決断のスピードが求められる。ぐちゃぐちゃ考えるのでなく、素早い判断が必要な時ほど、簡単に素直に考える。

・例えば共同で研究する場合、お互いに自分の意見をシャープに言い合うことが肝要。特に新しい人との共同研究では、自分の考えと相手の考えでは、どこが類似していて、どこが違うかを明らかにすることが、成功への早道。
・経験上、共同研究は互いが競争意識を持つぐらいの緊張感が強いもの同士が成功する。弱者連合はろくなことはない。

・周りからの目を気にしないアメリカ人が多い。一方日本人は、他人や他国からどう見られているか非常に敏感である。言い換えれば、自意識過剰。
・「やろう」のアメリカ、「やめたほうがいい」の日本。議論は普通、何かをするために議論をするのであり、やらないという議論は従属的である。つまり、やろうという人がいなければ、やらない主張は存在し得ない。

・これからの組織で大切なのは、自分の意見を持った人材。意見のない人間はいらない。
・日本には、自分が決定者であるという立場になりたがらない人が多い。だから客観的ということにしたがる。
・個人が決定権を持つという概念、そういう気概と信念が必要。

アメリカ人は「私がやった」というラベルをつけたがる。だから前任が始めたことを止めて、新しくはじめがる。
・一方日本人は、「自分で終わった」ということが問題視される。だから、止められない。前例があることが基準になり、失敗を恐れず挑戦する人は生き残れない。
・日本のシステムは、個人の恣意性では簡単に変わらない連続性・安定性という利点はある。ただ、俺が見直す、俺が始める、というアメリカ人の気概は見習うところがある。

 

■楽しく問題解決を

・書籍スローガンは「素人発想、玄人実行ー素直に考え、緻密に行う」である。

・発想の段階では、「どんなことができるだろうか」「どんなことを人は欲しているんだろうか」と、余計なことを考えず、素直にアマチュア的・直截的に考える。
・一旦やるとなれば、妥協を許さず、厳密で細心、プロ的・徹底的に突き詰める仕事をする、ということである。

・素直にアイデアを考えると、「それが本当なら、この場合はどうだ、あの場合はどうだ」と、自分で・他人と一緒に試し、議論することを厭わなくなる。
・そういう知的ゲームを楽しむ習慣ができると、世の中で受け入れられている常識を疑ってみようとするときに、ものの本質が見える、日々の習慣を再考し、よくするということができる。
・これは、物事を斜めから見る・皮肉な目で見るという建設的でな拗ねた考え方と混同すべきではない。あくまでも単純で素直、真摯な発想が元である。

・そして「できるのだ」というオプティミズム

 

https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/31841