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【大企業の新規事業】スタートアップの失敗理由から学ぶ、新規事業の成功率を上げる方法

新規事業はほとんど失敗し、新規事業の成功率は10%未満です。
新規事業立上げの試みは、10回中、少なくとも9回は失敗するのが普通です。

成功する新規事業は、その成功要因は様々です。
それに対して、失敗した新規事業は、失敗する理由は典型的なパターンがあります。大別すると「顧客・市場」に関する社外のもの、「組織・人・お金」に関する社内のもの。

成熟企業の新規事業の失敗事例は、あまり公開されませんが、
スタートアップの失敗事例は、共有・分析されるものも多く、特に米国では統計情報と共にまとめられています。

スタートアップの失敗理由から学ぶ、新規事業の成功率を上げる方法をまとめます。
(このブログエントリーは、前半は 米国cbinsightsの"The Top 20 Reasons Startups Fail"から、後者はスタートアップ支援の専門家 田所氏のインタビュー内容などをまとめます。田所氏は日米で起業や投資を経験した、スタートアップ支援のプロ。)

 

■スタートアップ(新規事業)が失敗する原因TOP5

米国cbinsightsの "The Top 20 Reasons Startups Fail"から、失敗理由トップ5を紹介します。
また、スタートアップ失敗理由の中で、成熟企業の新規事業と共通する点、違うだろう点も後述します。

新規事業 失敗理由トップ10

1市場ニーズがなかった
失敗理由ダントツ1位は「誰も買わないものを、作ってしまった」。
「顧客が実際に欲しがるものを作る」には、顧客と顧客の問題から始めるしかありません。「こんなものあったらいいよね」という、顧客不在のアイデアで、うまくいく確率は滅多にありません。

大企業の新規事業でも同じこと。顧客と顧客の課題にフォーカスせずして、新規事業がうまくいくはずがありません。「あったらいいよね」は、売れません。

2資金が切れた
スタートアップの失敗理由2位は、お金がなくなった。

大企業の新規事業は、幸いなことに、この理由で失敗することはありません。大企業では、新規事業の企画やプロトタイプ検証などの際も、会社から給料が支払われます。仮に事業立上げできずに失敗しても、毎月給料が支払われますので安心です。
(ちなみにスタートアップでは、立上げ時はCEOは給与ゼロから数万円のことも普通で、立上げ時は口座残高は減り続けます。社外への支払いが滞れば、自分で借金をして支払う必要があります。)

3チームが良くなかった
起業には3タイプの人間が必要と言われます。ハスラーハッカー、デザイナー。1タイプでも欠けると、難しい。
ハッカーは、テクノロジーに精通するプロダクト開発・技術者。
ハスラーは、ビジネス・顧客・市場を理解し、ビジョンを語り人間関係を作り、ビジョンとプロダクトを世界に売り込む人。
・デザイナーは、サービスの見た目や使いやすさ、顧客体験・満足度に心を注ぐ人。

大企業の新規事業では、この3タイプに加えて、社内政治家、オーガナイザーが必要と言われる。社内政治家は、社内の上層部や部署間調整をし、予算や人材リソースを確保し、大企業内で新規事業プロジェクトが支援されるよう振る舞う人。オーガナイザーは、現場レベルでプロジェクトへの支持を取り付け、事務管理面を引き受ける人。

大企業の新規事業の場合、上記の「スキルや経験」の観点と別に、不確実性に向く「素養・特性」を持つ人が取り組まないとうまくいきません。
参考:大企業の社内新規事業向いている人の見分け方・担当者の選び方

4競合に負けた
アメリカや中国はスタートアップ間の競争が激しく、競合に負けて失敗するケースもあります。

日本にて、大企業の新規事業の場合、スタートアップのパクリサービスを後発でやる場合は、注意が必要です。日本において、スタートアップと大企業の新規事業が競合すると、ほとんどの場合、大企業側が負けて事業撤退する結果になります。
パクリ新規事業をやる場合は、スタートアップが真似できない資金量・圧倒的な物量や人海戦術で、スタートアップを圧倒する必要があります(PayPay100億円キャンペーンが好例です)。

5価格設定の問題
過去にないプロダクト創出時、プライシングは極めて難しいポイントの1つです。

なお、既に競合プロダクトがある場合や、事業が成立しているビジネスを始める場合は、プライシング問題はありません。

https://www.cbinsights.com/research/startup-failure-reasons-top/

 

■スタートアップ・新規事業の失敗の90%を避ける方法

スタートアップ支援の専門家 田所氏のインタビュー内容などをまとめます。

・スタートアップが死ぬ理由は一つ、カスタマーが欲しがるものを作らないから。
・現金が尽きる前に、顧客が欲しがるプロダクトが提供できる状態(PMF:プロダクトマーケットフィット)に至れないと、会社が潰れる(スタートアップの93%は死ぬ)。

・失敗スタートアップは ①思い込みを信じて、②プロダクトを作り、ローンチ後に③見たいものを計測し、当然のように失敗する。
・「こういうプロダクトがあったらいいよね」という思い込みで、顧客が欲しがるかどうかを考えておらず、顧客にも会っていない。当然失敗する。

・スタートアップは「学習」にフォーカスする必要ある。
・やるべきは ①初期仮説構築し、②一次情報ヒアリングし、③仮説検証と修正。②と③を繰り返し、顧客の課題やペインポイントを捉える。
・これは、創業者メンバー全員でやるべきで、組織を分断してはならない。スケールする前は小さいチームが良い、学習が加速できるから。
・顧客の課題発見と検証を十分する前に、プロダクト開発に進んで失敗するケース多数。PMF前に、組織拡大して失敗するケース多数。

https://newspicks.com/news/3537922/body/

PMFは、顧客が欲しがる、マーケットにフィットするプロダクトを作ろうということ。
・ただ大企業は、人が欲しがるものではなく、会社が作れるものを作りがち(プロダクトカンパニーフィット)。その方が楽だし、社内コンセンサスも取りやすい。それで、誰も買わないものを作ってしまい、失敗する。

・顧客が欲しがるものを作るときに、加えて注意すべきは、立上げ時点のユーザーに最適化し過ぎてしまわないこと。それでは市場創造できない。未来がどんな世界かは断片的にしかわからないが、仮説によって紡ぎ、修正を繰り返しながら進むのが良い。

・大事なのは、自分たちの最初のターゲットとなるユーザーを明らかにすること。ユーザーはどういう不安や不満、不便の感情があるか。
・顧客が欲しがるものを作る必要があるが、ユーザーは潜在的ニーズを自分で顕在化して表現できない。顧客の声を聞くのはしんどいが、欲しいものがわかっていない顧客の声を聞くのは更にしんどい。それをやりきり、ユーザーインサイトを発見する必要がある。

・急成長型の新規事業を狙うなら、市場を創造する必要がある。
・市場を育てる観点ではなく、市場をクリエイトする観点。自分で市場を作り、事業が伸びつつ、市場全体が伸びるような状態が好ましい。

・新規事業の意思決定者が、起案者にPLを書かせようとするが、まだ存在しない市場を創造しようとする段階ではPLを書けない。
・ただ市場を俯瞰することはでき、大事なのは、まずどこを攻めるかというエントリー市場を選ぶこと。
・スタートアップの場合、小さな市場でいいので独占する。まだ存在しないけど、実はポテンシャルが高いのに誰にも気づかれていない市場を狙うと良い。そこで市場が創造できれば、大きく成長する見込みがある。

 

■スタートアップサイエンス 20ステップ

・成功するスタートアップを作るのはアートだが、失敗を避けるのはサイエンスである。失敗回避のための型がスタートアップサイエンス。この20ステップは万能ではなく、この20ステップは「守・破・離」でいう「守」の基本的な型。

・スタートアップサイエンス5つのステージ、20のステップ。
1Idea Verification:アイデアの創出と検証
2Customer Problem Fit:本当に問題が存在するのか?
3Product Solution Fit :問題に対してソリューションは適切か?
4Product Market Fit:ソリューション(プロダクト)に市場は存在するか?
5Transition to Scale:スケールするために

スタートアップの失敗を避ける方法

20steps https://www.unicornfarm.jp/startup-science

・5つのステージ毎に、チェックすべきこと。

失敗しないスタートアップ

5stages checkpoints https://www.unicornfarm.jp/startup-science

https://www.unicornfarm.jp/startup-science