出張レストランサービスのマイシェフ社長ブログ

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【P&G事例に見る】既存市場での市場創造・成熟市場の再活性化&市場拡張

■「諦めていること」に市場創造のチャンスある

諦めている人に「もうこれで諦めてなくていいんだ」と信じてれる解決策=新しい行動を提言し、それが受け入れてもらえると、新しい市場が創造できる
 ー頑張ったところで、結果が出るわけないと、諦めている人たち。
 ーカーテンや枕のニオイはどうしようもないと、諦めている人たち。

 

■ライザップの例

・ライザップは、健康志向や意識が高い人に加え、今まで運動やトレーニングにあまり関心がなかった人もターゲットにし、運動・トレーニングを始める人の増加に成功した。同社の成功は「運動・トレーニング市場を拡大させた」と言えますし、全く新しい「コミットメントコーチング市場を創造した」とも言える。

今まで「X」を未実施・未使用な人たちに、その「X」を新たに実施・使用してもらえたとき、市場は創造・拡大する
 ーすでに「X」を実施・使用する人に、現在使用する競合商品・サービスを自社に変えてもらう戦略は、市場創造・拡大はできない。パイの取り合い競争。
 ー市場の創造・拡大のためには、新たな「行動」を生み出さすことがひとつのカギ。

 

■ファブリーズの例

・ファブリーズ前は、布地のニオイに対する「行動」は、洗濯・我慢・捨てるのどれか。下着や洋服は選択するけど、シーツやカーテンなどは我慢・ソファや枕は捨てるしかなかった。それが当たり前だった。
・ファブリーズは「布地のニオイをスプレーで取り除く」という、新しい「行動」を提言。その習慣化に成功した。
・新しい「行動」が生み出された(市場の創造)ことで、ファブリーズ発売から10年間に消臭芳香剤の市場は約2倍に拡大した。

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■成熟市場と成長市場

成熟市場のマーケティングの基本的な考え方
ー先にマーケット(市場)の枠を決める(既に決まっている)。
ー市場の中の、どこで戦うか、誰が競合でどこからシェアを奪うかという戦略を練る。
ー既に様々なデータがあり、理論的で計画を立てやすく説得性も高い。

成長市場のマーケティングの基本的な考え方
ーマーケット(市場)の枠を決めずに、市場は自分たちで作るという考えに基づく。
ー競合が不明瞭で、誰からシェアをとるか考える意味合いが薄い。
ーどのくらいの人が自分たちの提言する行動を始めてくれるか考える。

 

■縮小する成熟市場の再活性化

・人間は無意識のうちに、常識や習慣、定義など様々なリミッター(枠)に囚われるのが普通。
・成熟市場は、習慣的に惰性的になっており、思考のリミッター(枠)を壊さないと、先に進めない。
・思考のリミッターを壊すことで、新しい可能性が広がる。(既存商品のカテゴリ「定義」を変え、消費者に認知・受け入れてもらうことで、成熟市場を拡張して再活性化する。)

 

■柔軟剤の例

【縮小していた柔軟剤市場】
ー2000年ごろ市場縮小しており、P&Gバウンスはシェアも落としていた。
ーユーザー調査の結果、消費者の柔軟剤使用は惰性になっており、商品の差別化もできず、価格で選ばれる状態だった。
ー各社、「うちの商品の方がより柔らかく仕上げる・より安い」と必死にアピールし、市場縮小に一役も二役いながらシェア落とす悪循環だった。

【新しい価値軸を投入したレノア】
ー柔軟剤を「柔らかく仕上げる」という価値から、「防臭」という価値を追加。
ー防臭効果ある柔軟剤レノア開発・投入し、市場創造とシェア奪還を狙った。
ーカテゴリ定義を変え、ただ、変わりすぎるとユーザーや店舗に受け入れてもらえないため、商品コンセプトやパッケージを何度も作り直した。
ー市場創造でき、レノア発売から6年でに柔軟剤市場は約1.8倍に拡大した。

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 【その後さらに、別の新しい価値軸を投入したレノア】
ー商品開発は、まず「満たされてないニーズ」を探ることから始まる。
ーしかし、ニーズがそこそこ満たされた市場では、さらなるニーズを探ろうとするより、ユーザーは必要としてないとこに「ウォンツ(WANTS)」を作り出せれば、市場創造・拡大の切り口になる。
ーレノアは、「防臭」価値に加え、「着ている間に香って、ちょっと楽しくしてくれる」商品に進化。

 

イノベーション創造メソッドの基本

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イノベーション創出メソッドや方法論は様々だが、大切なこと「広げる → 収束させる → 広げる → 収束させる」を繰り返すこと

現状の進化に制限をかけている「見えない障壁」に風穴をあけて、新しい風を吹きこみ制限を外して、可能性を「広げる」
 ー無意識に囚われている「既存の現状」とは何なのかを認識する。
 ー自分たちを取り巻く「現状」を把握するのは、実に難しい
 ー人は常に「主観」であり、何が与件で、何が思い込みで、何が不変かなど、客観的に把握することは、極めて難しい。

・「現状打破」を目的に、わざと異物や外部の視点から、反応や意見を得ることから始めた。自分たちの「現状の見え方」を揺さぶる。
 ー消費者の意見、社外の人、他カテゴリーの担当者、全く違う業種の人など。
 ー自分たちが捉える「現状」を、外の人たちはどう見るのか。
 ー自分たちが囚われている「現状」の外側では何が起きているのか。
・自分たちが気づいていなかった、無意識の制限を認識し、それを意図的に外して、可能性を広げることが狙い。

イノベーション創造は「広げる」から始まるが、それを阻止する最大の敵は「現状への強い "保身"」。
 ー外からの視点や意見・アイデアを、「自分のビジネスに関係ない」「こんな素人の話を聞いても無駄だ」など、耳を貸すことができないメンバーが必ずいる。
 ー役職や年齢が上の人ほど、過去と違う考え方や意見に批判的・拒絶的になりがちなので注意。
 ー逆に、常に好奇心を持ち、違う見方や考え方をポジティブに捉えるメンバーもいて、そういう人たちのアイデアは「イノベーションの卵」になりえる。

 

 

出典:RIZAP、P&G「ファブリーズ」に学ぶ、市場創造の方法
成熟した柔軟剤市場を6年で1.8倍に、P&G「レノア」の市場拡大戦略
P&Gイノベーションファクトリーが最重視する「客観的多様性」