出張レストランサービスのマイシェフ社長ブログ

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【富士フィルム オープンイノベーション】独自技術に裏打ちされた、顧客との共創によるイノベーション創出

2000年代のデジタルディスラプションに直面するも、経営大改革により、奇跡の事業構造転換を遂げた富士フィルム

2014年に「Open Innovation Hub」を開設し、日本でオープンイノベーションが最も得意な大企業と言える、富士フィルム社のオープンイノベーション

 

■オープンイノベーションを志向する理由

富士フィルム オープンイノベーション

富士フイルムのオープンイノベーションは、共創的なイノベーションであり、選び抜いたパートナーと共に、互いの技術やアイデアを融合することで新たな価値を作っていくこと。顧客の声を聞き、共創するオープンイノベーション

富士フィルム社が、オープンイノベーションを志向する理由は2つ。
・1つ目は、様々な領域の社会課題の解決のために、パートナーと志を共有し、「共創関係」を構築することが有効。共創により自社単独では成し得ない大きなイノベーションを起こせる。具体的には、重点領域のヘルスケア事業・高機能材料事業で、画期的な新商品やサービスを世に送り出し、新規事業を創出することに重きを置く。
・2つ目は、自社技術は、材料化学・画像処理・光学など写真フィルム事業で培われた技術が大半。写真フィルム時代のビジネスは自社内で完結し、世界で数メーカーが、独自技術で品質改良を徹底追及して競争していた。その後ヘルスケア、高機能材料など新規分野へと多角的に発展し、現在は、写真で培った技術を新分野で活用する機会が増えている。技術から新たな価値を導き出す機会を的確に捉え、その可能性を高めるには、幅広い分野と融合すること、つまり開かれた世界で未知のニーズやシーズと組み合わせることが不可欠である。

・オープンイノベーション は今に始まったものでない。同社が2000年頃からのデジタルディスラプションへの対応の中で、2000年代から取り組んできた、異分野との「融知・創新」による新たな価値の創生 を重んじる姿勢の延長線上。

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私見:数十年に渡る技術投資と事業転換経験があるからこそ

富士フィルムのオープンイノベーションは、顧客と実用性の高い、画期的製品・サービス創出をし続ける、非常に素晴らしい仕組みだと思います。

「選び抜いたパートナーと、互いの技術やアイデアを融合する」とトップメッセージで2度も強調。富士フィルム社が選び抜いた優れた企業と、富士フィルム社の優れた技術の強者連合・強者共創で、過去にない新しい価値・画期的な新商品やサービスなど新規事業を創出するという、強い意思の現れ。

 

富士フィルム社に、次のような背景や理由があるが故に、実現できていると思われます。

・2〜2.5兆円の売上と1500億円前後の営業利益。その財務規模と超優良状態を長きにわたり継続。
・1500億円の研究開発投資を続けた技術力の蓄積(研究開発投資は世界トップ150以内に入り、日本では研究開発投資17位。日本の研究所だけで2000人の研究者)。
・写真フィルム関連技術の特殊性。写真フィルムメーカーは世界4社のみで、独自技術を追求し、世界で前例ない研究開発を続けるR&Dや開発生産技術の本質追求性。

・2000年頃から続く事業大転換の努力と激闘経験、現場に根付いた変革気質。
・2006年〜2009年で、およそ1万人の大リストラ。会社として大危機状態にある中での、"攻める or 死ぬ" という背水の陣。

・2000年頃から、異分野との「融知・創新」による新たな価値創出を行う、多数の成功と失敗の組織的な経験の蓄積。
・化粧品の新規参入時など、顧客と一緒に作らないと使える価値が作れないと、社内の多くの人が実体験を通じて具体的に理解している。

(言い換えれば、大多数の会社がこのやり方をそのまま真似しようとすると、失敗するのは火を見るより明らか)

 

■社内の研究者の知恵の融合

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・2006年に富士フイルム先進研究所を開所。専門別だった研究室を、200人規模の大部屋に集め、異分野の交流を促すよう工夫した。
・研究者の考え方を変えるには相当時間がかかった。専門技術を守ることを何十年も続けてきた為、コミュニケーションをとる心構えにすぐ切り替えられない。

・20~30代の若手研究者を対象に、デザイン思考を応用したワークショップを始め、徐々に対話を促進。技術展示コーナーを所内に作り、社員や来訪者に視覚的にわかりやすく技術を伝えることを始めた。
IDEO流デザイン思考法を自分たちでアレンジし研究開発向けに工夫。2006年から6年間続け、4~5人規模で年4~5回会合を開いた。

・社の研究発表大会で、研究成果を平易な言葉で伝え、サンプルを一緒に置くように(目に見える形で、わかりやすく伝える)。すると別の専門分野の人から質問がきたり、連携につながったり、ということが徐々に起きるように。
・外部展示会でも同様の工夫をして、研究者が来訪者と直接コミュニケーションする機会も増やした。
・オープンイノベーションの考え方を深め、2014年のオープン・イノベーション・ハブ開設につながった。コア技術の展示を通じて、顧客の知恵と自社の技術を融合する共創の場をつくりたいと考えた。

・現在はデザイン思考の他、バックキャスト手法(未来変化を予見して課題逆算して考える)を取り入れている。というのが、デザイン思考を10年前から取り入れてきたのに、実業では直接目に見える成果が出ていないから。
・日本メーカーは課題設定をした後、ある程度の答えを先に決め、一生懸命その答えに向かってアプローチしがち。それではデザイン思考をやったつもりでも、実は表面的な問題解決になってしまう。そうしたこれまでの経験から、最も重要なのは本来の課題は何か、課題設定を突き詰めることだと考えている。

 

■Open Innovation Hub

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・オープンイノベーションハブは「富士フィルムの技術的アプローチから、新たな価値を "共創" する場」。

富士フイルムのコア技術とその応用展開事例を示し、技術を体感しながら顧客とのコミュニケーションを深め、顧客やビジネスパートナーが持つ課題やニーズを結びつけ、課題解決やアイデアの具体化を進める、新たな価値を“共創” する場。未来を拓く重要拠点となっている。

 

・オープンイノベーション活動促進のため、同施設を2014年1月に開設し、2019年秋までで約3000社が来場。
イノベーション戦略企画部を2015年に設立。事業戦略と技術戦略の機能集結することで、新規事業創出のスピードを加速化させ、オープンイノベーションのグローバル展開を推進する部門。
・オープンイノベーションハブ責任者は、経営企画本部 イノベーション戦略企画部に在籍。また、化粧品事業立上げ時の開発責任者も同部門に在籍。 

富士フィルムのオープンイノベーション  コア技術

  

・同施設の利用は、富士フイルム社員の紹介による完全予約制。富士フィルムが選び抜いたパートナー企業と共に、BtoBのオープンイノベーションに取り組んできた。
・一般見学は受け付けない。

・オープン当初のターゲットは、技術に詳しいCTO(最高技術責任者)が多かったが、現在は技術系以外の経営層、研究開発の担当者、新規ビジネス担当者など広がっている。
・同施設により、出会ったことのない企業とビジネスできるようになり、それが非常に加速している。 
富士フィルムの技術資産を利用して、お客様の課題にどう役立てることができるのか?などを議論し、新たな価値の共創を狙う。

・オープンイノベーションハブは最初の出会いの場で、その後は、社内の適切な部門につなぎ、次のステップに進む形になる。
・2019年秋までで約3000社が来場し、次のステップに進めたのは、全体の15%くらい。"強み"×"強み"で、パートナー企業の強みが一言で言えないパターンは、うまく進まない。

 

■Open Innovation Hub 以外のオープンイノベーション

https://fujifilm.jp/business/cdmo/factory/pack/img/kyoso/ph2.png

・コア技術の進化はもちろん、それ以外にAIやICT技術の強化をし、既存強みのフィジカルと新しいサイバー・アカデミアをどう結びつけるかを今後進める。(AIやICTに関する拠点 Brains)
・自社の生産プロセス技術を活かすオープンイノベーション ものづくり共創FACTORY。"顧客のフィルム製品や開発品" × "富士フイルムの生産プロセス技術" で、早期の量産および受託製造を実現するプロジェクト。  

 

富士フイルムのオープン・イノベーション|産学官連携ジャーナル
先進・独自の技術力|富士フイルムHP
お客さまの声を聞き共創するオープンイノベーション|富士フィルムHP
Open Innovation Hub|富士フイルムHP
話せば生まれるコラボ 富士フイルム流デザイン思考|NIKKEI STYLE
富士フイルムが描く理想的な“共創”のカタチ|JBpress
世界中が注目する“奇跡のイノベーション” 富士フイルム変革の舞台裏|FastGrow
ものづくり共創FACTORYとは|富士フイルムHP

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