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【シリアルイノベーター 要約】画期的な製品やサービスを繰り返し創り出す企業内イノベーター

重要な課題を解決するアイデアを思い付き、その実現に欠かせない新技術を開発し、企業内の煩雑な手続きを突破し、画期的な製品やサービス(ブレークスルーイノベーション)として市場に送り出す。
この過程を何度も繰り返せる人材が、シリアルイノベーター。

組織に属するシリアルイノベーターによる、革新的イノベーション創出の実態を明らかにした、新規事業担当者にとっての名著です。

大企業の新規事業創出に役立てることを目的に、書籍 シリアルイノベーターのポイントを要約します。

 

■ シリアルイノベーター 要約に先立つ留意事項

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「シリアルイノベーター」は、極めて示唆に富む内容です。しかしながら、いくつかの点について、留意して読み解く必要があります。

● インターネット前・モバイル前

当書籍の原著は2012年の発売で、著者らによる10年の調査の集大成です。調査時の2000年代に、成熟企業であり、その企業にてブレークスルーイノベーションを複数回成し遂げた方へのインタビューを元にしています。つまり調査対象は、インターネット前・モバイル前の事例です。
シリアルイノベーターの"特性" "素養" といった個人に関することは、20世紀と現在で、おそらく大きな違いはないでしょう。

"ブレークスルーイノベーション"は、20世紀は技術研究&開発のイノベーションとほぼ同義でした。それにより1980年代の日本のモノづくりは世界で勝利しました。
しかし、21世紀になり、ブレークスルーイノベーションと呼ばれる事例は、インターネット・モバイルを活用した、新しいビジネスの仕組み創出・新しい顧客体験のイノベーションに軸足を移しています。(当書籍では、インターネット後・モバイル後のブレークスルーイノベーションについての考慮がないことは、留意すべき点です)

● ブレークスルーイノベーションと段階的イノベーション

当書籍の原著の副題は「How Individuals Create and Deliver Breakthrough Innovations in Mature Firms」です。
日本の書籍や記事では「イノベーション」という単語が、何にでも使われがちです。
しかし、英語では「Breakthrough innovation」と「incremental innovation」は、明確に区別されます。「ブレークスルーイノベーション」と「段階的イノベーション」で、当書籍は「Breakthrough innovation」についての内容です。
(有名な「イノベーションのジレンマ」では、「破壊的イノベーション」「持続的・効率化イノベーション」と言われます。)

● シリアル・イノベーターは超希少人材

シリアル・イノベーターの特性を有する人材は300人中1人ほど(技術専門スタッフの50人〜200人に1人ほど)しかいない、超希少人材だそうです。
当書籍内容は、"超希少人種によるブレークスルーイノベーション創出" のため、この書籍内容を、そのまま参考にすることは、ほぼ不可能だと考えるのが真っ当です。

● "invent"≠"技術開発"

当書籍は、イノベーションを"創り出す" ことへの言及は多いです。原著では "invent" と書かれ、"創案する" "新しいものを初めて作り出す" という意味合いで表現されます。
しかし当書籍では、なぜか "技術開発" と誤った単語で表現されています。
当書籍を翻訳された方は、翻訳と並行して、花王トヨタなどのメーカーの方と研究会に取り組まれたそう。そのため、過度に製品開発に引きずられてしまい、誤って "技術開発" という単語を選んでしまったかもしれません。

 

シリアルイノベーター 破壊的イノベーションの担い手

よりわかりやすく要約するために、本書では曖昧・わかりづらい次の点を、明確に書き分けます。

●ブレークスルーイノベーション = 新しい"クリエーション"

"イノベーション" という曖昧な用法を避け、わかりやすくするべく、当ブログエントリーでは、次のように書き換える、もしくは "革新的イノベーション" と書きます。
・ブレークスルーイノベーション → 新しい"クリエーション"
・段階的イノベーション → 既存の延長線上の"改善"

● 新しいビジネスの仕組み創出・創案

インターネット後・モバイル後である21世紀の現状に合わせ、"画期的な製品開発" ではなく "新しいビジネスの仕組み創出" と捉えます。
またそれを生み出す主要素の一つ "invent" は、"技術開発" という技術偏重の捉え方ではなく、 "創案" と捉えます。

● シリアルイノベーターの行動を、10人に1人の人材なら適応できるように

当書籍のブレークスルーイノベーション創出は、シリアル・イノベーターのやり方です。
300人に1人しかいない超希少人種・超異端児のやり方を、組織内の誰でもできるとは、決して思いません。
しかし、そのやり方は、顧客課題に立脚する、地に足のついた、極めて真っ当なやり方です。成熟企業に存在する縦割り組織・既存の延長線上の"改善"中心の組織ルールに合わないだけとも言えます。
成熟組織にて、革新的イノベーションを創出するやり方のエッセンスを残し、かつ、新事業向き人材(10人に1人くらい割合で存在する)なら活用できるよう、要約します。

 

■成熟企業のブレークスルーイノベーション 

ブレークスルーイノベーション

・「シリアルイノベーター」は、組織内で革新的イノベーションを複数回(シリアルに)生み出す人物。重要な課題を解決するアイデアを思いつき、必要に応じてその実現に必須の新技術開発や社外からリソース確保をし、企業内の手続きを突破して、画期的な製品やサービスを具現化し、市場に送り出す。
・組織内のサラリーマンに、どの製品を開発するか自ら決定する権限はない。そのため、自らのビジョンを製品として実現するには、ビジネスや技術に関する観点だけでなく、人的ネットワークや車内政治力の観点も動員する必要がある。

・シリアルイノベーターの動き方は、一般的な企画や開発担当者と随分異なる。社内の標準プロセスに身を任せたりせず、それゆえ、巨額の売上を生むブレークスルーイノベーションを創り出す可能性がある一方で、組織の中で問題を引き起こす可能性も秘めている。彼らは、製品群や事業企画を変え、頻繁に組織のルールを破る。

 

■段階的イノベーション(改善)と革新的イノベーションの違い

・企業には2種類のイノベーションが必要。
 ー段階的イノベーション(改善)
 ー革新的イノベーション

・"段階的イノベーション"は、既存製品を継続的に改善する、既存製品群に新製品を加える(製品群の拡張)など、既存の延長線上の改善・変化を目的とする。事業&技術開発プロジェクトの75%以上を占める。
・既存顧客・市場・競合があり、データも十分あり、開発業務は予測がつきやすいものがほとんど。そのため開発プロセスは標準化でき、ステージゲートプロセスを採用する企業が多い。

・"革新的イノベーション"は、既存製品パフォーマンスを5倍以上向上、新しい市場に進出できるような革新的な製品開発・新規事業など。事業&技術開発プロジェクト全体の25%以下を占める。
・25%の内訳は、15%は既に他企業が販売する製品の追随(モノマネ新製品・モノマネ新事業)。
・真に市場を切り開くブレークスルーイノベーションは10%にも満たない。市場に出す上で、前例は存在せず、競合は存在せず、市場や技術に関する未知の部分や不確実性が高く、そのリスクを乗り越える必要がある。

■革新的イノベーション創出に、ステージゲートプロセスは有害

シリアルイノベーター ステージゲートは有害

ステージゲートプロセスは、ブレークスルーイノベーションの創造では、うまく機能しない。ステージゲートプロセスは、製品企画が既に固まっていて、技術開発がある程度終了していることが前提になっている。

・新製品開発の最初段階は、"FFE"という機会発見や創案(fuzzy front-end 曖昧な初期段階)である。
・既存製品の改善では、FFEがほぼ存在しない。何をすべきか関係者はよくわかっているから。また15%を占める他社のモノマネ新事業開発でも、他社や市場の情報を元に、FFEは簡単に終わらせることができる。
・対してブレークスルーイノベーションでは、未知の市場や技術に取り組むため、またどこを市場とし、どの顧客にどういう課題があるか幅広く理解が必要なため、FFEはかなり膨大な作業となる。

 

■技術主導型イノベーションと市場主導型イノベーション

・成熟企業がブレークスループロジェクトを展開する際、技術主導である場合が多い。機会の発見ではなく、企業の研究開発部門からスタートする。このやり方で革新的な製品を生み出すことは困難。
・技術主導型の多くが、技術の有効な応用の仕方を探し出せず、また企業に利益をもたらさない「打つ釘がない金槌」を作っているから。
・研究開発部門は、革新的な技術開発には熱心だが、事業化に押し進める組織構造や仕組みがないために失敗する(事業化のためには、営業やマーケ、製造や流通などの役割が統合的に必要だが、それらは既存事業のために忙しいのが一般的)。

・市場の要請から生まれる市場主導型もあるが、市場ニーズは十分定義されていても、技術的な難易度により実現困難で、棚上げになってしまうケースが多い。

・革新的プロダクトを生み出すには「潜在顧客にとって価値があり、かつ重要な課題と、優れた技術的解決策・自社の強みが生きる解決策とを組み合わせる」ことが重要。問題は、それを成し遂げる標準的なプロセスは存在しないこと。

 

■誰が新製品開発を担うのか

シリアルイノベーター 新製品開発担当者

・革新的プロダクトを生み出すには、多くの業務遂行が必要で、異なるスキルや能力が必要。
・FFE(曖昧な初期段階)では、技術開発には技術的能力が必要で、顧客ニーズの発見や把握・市場に関することはビジネス的な能力が必要。プロジェクト推進には、社内政治的スキルから、実務的なプロジェクト遂行・具現化能力も必要。

・技術主導の場合が多く、典型的には、大きくは 1技術開発、2チャンピョン、3製品開発担当者 の3つの役割。
 1技術開発:発案者だが、技術開発者は技術革新にフォーカスするきらいがある。
 2チャンピョン:事業と顧客に関する知見があり、社内政治手腕に優れる。
 3製品開発担当者:製品開発プロジェクトを遂行する能力に長ける。
・問題は、これら役割はブレークスループロジェクトの異なる段階を担当するが、誰もFFE(曖昧な初期段階)にて顧客ニーズの発見と把握に責任を持たない。その結果、「打つ釘がない金槌」が作られて失敗する。

・シリアルイノベーターは、この3つの役割を全てこなす。ただ存在は極めて希少で、技術スタッフの50人〜200人に1人ほどしかいない。かなり稀な存在。
・シリアルイノベーターは、顧客ニーズの精緻な理解と、技術的解決策の探求との間を、何度も繰り返し行き来する。自ら顧客の元に出向き、市場に関する詳細な知識を得て、研究中の課題や解決策に市場が関心を持つかどうかを判断する。

 

私見
・本書の後半にて、シリアルイノベーターの特定・育成の内容があるが、個人的には、シリアルイノベーターを見つけ、革新的プロダクトのプロジェクトを任せるのは、あまりに "運頼みが過ぎる" と考えます。
・個人的には、"研究開発者とチャンピョン(新規事業担当者)の2人1組でタッグ"を組み、FFEのフェーズを担当させるのが、多くの企業で実施できる、現実的な解だと考えます。
【研究開発者が主導する、破壊的技術シーズ起点の場合】
技術研究段階から、新規事業担当者が当該技術が解決しそうな課題を、社内・社外に広く探求しに行く(最初期から、打つ釘を探しに行く)。
【新規事業担当者が主導する、市場や顧客課題起点の場合】
企画初期段階から、具現化のための技術難易度や実現性について、研究開発者とコミュニケーションし相談する(最初期から、どういう金槌なら具現化できそうか、大まかなあたりをつける)。
・社内政治手腕は、研究開発者の上司(R&D部長など)、新規事業担当者の上司(新事業担当執行役員など)が社内調整力を発揮するのが、基本的にはよろしいのでは。

参考:悪化する研究開発投資効率|研究開発と新規事業創出はこうすべき 

 

■シリアルイノベーターの能力と特性

・シリアルイノベーターは、成熟企業の一般的に優秀な技術者やマネージャーと、異なる特性や能力を持つ。

・シリアルアントレプレナーは、①パーソナリティ、②パースペクティブ、③構え、④モチベーション にて、次のような特有の特性を持つ。

①パーソナリティ:
決定的な特徴は「システム思考」をするということ。個々の事象に目を奪われず、各要素間の関連性に注目して、全体像を捉えようとする思考傾向が強い。

パースペクティブ(独特の視点):
仕事中心で理想主義者。人々の課題を解決し、世界をより良い場所にするべきと思っており、そのために技術活用し、同時に所属する企業に利益をもたらしたいと考える。
技術は重要であるものの、目的を達成する手段に過ぎず、新製品は売れなければならず、利益を出さなければならないと考える。同時に、非常に倫理的な態度も示す。

③構え:
生涯を通じての学習者であり、技術やビジネス、市場など複数領域で行われる。仕事をしながら学び続け、知識領域を拡大する。

④モチベーション:
新しいものを生み出そうとするシリアルイノベーターのモチベーションは、大きく二つの要因から構成される。1外的要因:緊急かつ重要な課題を抱えた顧客や企業の存在こそが、彼らのモチベーションを高めている。2内的要因:未解決の課題に取り組みたいという創造への欲求、課題解決の達成感。この外的要因・内的要因の強固な相互作用によって、モチベーションがもたらされる。

・シリアルイノベーターは、革新的イノベーションを想像できる確率を高めるようなプロセスを開発し、必要社内リソースを確保すべく社内政治を行う。

・プロセス:シリアルアントレプレナーのプロセスは、ステージゲートと異なり、ユニークな点が3つある。
1顧客と技術、市場の間を行き来する。最初に取り組むのは顧客の真の課題を見つけること。機会があれば、開発中技術を市場に持ち出し、メリット享受する潜在顧客が市場に存在するか捉えようとする。
2直線プロセスではなく、重複や反復、フィードバックで戻すことが頻発する。
3製品販売後も、顧客がどう思うか、次に自分は何をすべきか知ろうとする。

 

■イノベーター主導型プロセスとは

・革新的プロダクトを作るには、FFE(曖昧な初期段階)は非線形状で反復も多く、単純な循環ではない。課題解決方法を変えたり、取り組む課題自体も変えてしまう。途中までで判明した成果を投入し、さらに循環する。

・革新的プロダクト創出の過程において、必ず実行する5つの大タスク。
 1適切な課題の発見
 2課題の把握
 3Invent & 評価(技術開発と評価)
 4実際のプロダクト開発
 5市場での普及促進
・この5つのタスクは、一度どころか、何度もいずれかのタスクに立ち戻ることもあり、シリアルイノベーターがこのモデルを通過するルートで、同じものは一つとしてなく、異なる道筋を歩んでいた。

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・シリアルイノベーターは、革新的プロダクトを作るのだというモチベーションが、もともとある。顧客が抱える真に重要な課題の解決策を創造し、その新製品が確実に上市されるよう取り組む。

・生まれながらのモチベーションのおかげで、彼らは興味深い課題を見出し、理解しようとする。膨大な時間を使い、最初に頭に描いた課題像を書き換えていく。何ヶ月、何年といった長い時間(6〜9ヶ月か、それ以上の時間)をかけ、課題の発見と把握から、ようやく解決策の創造へとシフトする。
・ 1適切な課題の発見、2課題の把握、3Invent & 評価(技術開発と評価)の3つが、シリアルイノベーターのFFE(曖昧な機会発見と創案の初期段階)を構成する。

・3Invent & 評価 にて、解決すべき課題への妥当かつ実行可能な解決策アイデアを創造できたら、次の段階へと移る。4プロダクト開発は、会社の標準的な新製品開発プロセス・新事業立上げプロセスに沿って、プロダクトを具現化させる。
・製品のリリース・販売後も、そのプロダクトが市場で普及するための取り組みも行い、市場と顧客のフィードバックを元にプロダクトのブラッシュアップにも立ち会う。

・このプロセスは、典型的な新製品開発プロセスと、次の3点で大きく異なる。

①非直線的にアプローチ
まず "1適切な課題の発見" と "2課題の把握" との間を、その先に進めるだけの情報を得るまで旋回し続ける。また "4プロダクト開発" と "5市場での普及促進" の間も、繰り返し旋回する。

②後半の遂行よりも、前半のFFEにエネルギーを集中させる
"1適切な課題の発見" に時間をかける。まだ発見した課題を完全に理解したかどうかを確認するのにも、時間をかける。多くの月日を費やして、広範なFFEを実施して、新製品開発に移れるだけの十分な解決策アイデアを作り上げる。
なぜなら、FEEが不適切だったならば、その後に何をどう努力しても、失敗するしかないから。

③市場に製品の普及を促すために、自ら動く
典型的な新製品開発プロセスでは、この段階はマーケと営業の役割だが、シリアルアントレプレナーは、営業担当と顧客の両者が、新プロダクトの持ち力を正しく理解できるように尽力する。なぜなら、新プロダクトを成功させたいから。

 

■1適切な課題の発見

シリアルイノベーター 課題の発見

・「興味深い課題」を発見するのは極めて重要。
・"機会"ではなく、"アイデア"でもなく、"課題設定"でもなく、「課題の発見」。
・顧客となり得る人々が苦痛を味わっている課題、それの解決策に顧客が進んでお金を払ってくれそうな課題、を見つけ出そうとする。

・「興味深い課題」は、①課題の解決により、会社に大きな財務的インパクトが得られる可能性がある、②解決策を見つけられそう、③課題と解決策が、顧客と経営陣の双方に受け入れられそうである(顧客の課題を解決し、会社の戦略にも合致する)、の3つの条件を満たすもの。

・シリアルイノベーターは「誰も買わないイノベーションは開発したくない」。技術は、課題解決という目標における手段でしかないと、十分理解している。また会社が事業から収益を得る必要があり、顧客の課題を解決して利益を生み出すしかないことも理解している。

・「興味深い課題」候補を発見するアプローチは様々だが、重要なのは、課題発見においてほぼ例外なく、顧客の視点から出発している。広く深く当事者に聞くことで、本人にも見えていないニーズを探し出す。
・シリアルイノベーターは、既によく知られている課題を、全く新しい枠組みで捉え直す能力に、不思議なほどに長けている。また複数の異分野の情報や知見を活用して課題を見つけ出すことも多い。

・どのようなアプローチで適切な課題を発見しようとも、次の段階に進む前に、継続的に課題を吟味し続ける。興味深い課題かもしれないと気づくと、その評価のために、顧客候補となる人も含めて様々な人から意見を聞く。

シリアルイノベーター 5つのタスクの流れ

 

■2課題の把握

シリアルイノベーター 課題の把握

・興味深い課題を発見したら、その課題を深く理解しようとする。何を知るべきか明確にし、その知の獲得に協力してくれる人で非公式チームを作り、その人たちの力を借りる。
・まず「顧客視点」と「技術的観点」の間を行き来して課題の理解を深め、また未解決課題であるか・取り組むに足る課題であるか確認するために「市場機会」や「競合他社」についても学んでいく。複数の領域をまたいで情報を統合し、複眼的な思考で課題を理解しようとする。
・4つの領域から十分な情報が集まり、どこかの時点で、未知の事柄が少なくなり、解決すべき課題と判断したら、課題の解決策の検討へと進む。逆に、課題把握を通じて、取り組むに足らない課題とわかった場合は、前のステップ(1適切な課題の発見)に戻る。

・解決すべき課題と判断するタイミングでは、シリアルアントレプレナーは、具体的に課題を解決する技術的な策はまだないが、市場と顧客に関する膨大な情報を持つに至り、イノベーションへの道筋を切り拓くだけの包括的な情報を獲得した状態にある。

・シリアルアントレプレナーは、ここまで(1適切な課題の発見・2課題の把握)に非常に多くの時間を使う。

シリアルイノベーター 5つのタスクの流れ 課題の理解

 

■3Invent & 評価(技術開発と評価)

シリアルイノベーター 技術開発と評価

・適切な課題を発見し、課題を把握した後、その課題を解決するための具体的な解決策に落とし込んでいく。
・解決策の複数の道筋を示し、それぞれの実現可能性を見定め、モデル化して評価し、課題を包括的に解決する方法を特定する。

・課題の解決には複数の方法があることを十分認識し、最初に思いついた特定のアイデア・解決策に固執しないよう、複数を並行して検討する。科学的に異なる方向、質の異なる解決策の検討を行う。

・モデル活用し、実験を通じてモデル検証を行う。仮説を立てて、実験やヒアリングなどで仮説検証を行う。実験が複雑・高コスト過ぎる場合は、シミュレーションソフトで実験することも。プロトタイプを作成し、目で見て判断できるようにする。

・技術開発・Invent(創案)とは、一見すると無関係に見える概念や技術を関連付けて組合せ、既存の延長線上にない、これまで存在しない解決策を生み出すこと。

smasa0810.hatenablog.com

シリアルイノベーター 5つのタスクの流れ 技術開発

 

■4実際のプロダクト開発

・実際のプロダクト開発は、自社内の正規の新製品・新事業開発プロセスによって、製品・事業開発を進める。様々な職務を担う人や多くの関連リソースが必要となるから。
・シリアルアントレプレナーは、このフェーズに入っても手を引かず、製品開発にも、発売開始後の市場における製品普及にも、積極的な役割を果たす。

・開発に着手する前に、チーム編成とプロジェクト計画立案をする。シリアルアントレプレナーは、チーム編成も自分の責任と信じており、懸命に立候補者を募る。自ら手をあげる人の方が、会社辞令で担当にあたる人より、優れた仕事をするからだ。
・彼らは必ずしもリーダーシップを取るのが好きなわけではなく、プロジェクト開発段階では、専門のプロジェクトマネージャーに喜んで任せる。しかし、初期段階で何を行う必要があり、どんな種類の機能やリソースが必要そうか、誰よりもよく知っている。

シリアルイノベーター 5つのタスクの流れ 製品開発

 

■5市場での普及促進

・一般に、新製品開発チームの責任は、製品の発売開始までだが、シリアルイノベーターは、発売開始後も製品を追って市場に入っていく。
・市場に入って、製品の普及を促進するとともに、まだ解決されていない課題の情報を詰め、新たなチャンスを探る。彼らは潜在顧客と直に接する機会を持つ。

・シリアルアントレプレナーにとって、新製品が顧客の元に到達し、期待された売上を達成するまで、課題は解決されていないに等しい。製品開発チームを率いると同時に、市場での普及を促進し、製品と市場と顧客の間を行き来するように仕事を進め、新プロダクトが「高い完成度で発売」できるようになるまで続けられる。

シリアルイノベーター 5つのタスクの流れ 市場啓蒙

 

・シリアルアントレプレナーは「1適切な課題の発見」のために、多大な時間を使う。
・解決された場合に大きなインパクトが期待され、実現可能そうで、顧客と経営陣の両方に受け入れられそうなものが、適切な課題である。
・また、その課題を理解することにも多くの時間を使う。課題発見と、課題把握を行き来しながら、課題の定義と理解を書き換え続け、やがてイノベーションへの道筋を切り拓いていく。
・課題解決のための技術開発・Inventは、社内の技術だけでなく、むしろ社外にも目を向ける。

・シリアルアントレプレナーの新プロダクト開発は、一般的な新製品開発プロセスより、ずっと前から始まっている。またその終わりも、一般よりもずっと後まで続く。

 

■顧客とのエンゲージメントを築く

シリアルイノベーター 顧客とのエンゲージメント

・シリアルアントレプレナーは、本能的に顧客の課題解決に惹きつけられる。
・「顧客」とは、"自社の既存製品を利用している人々や会社" に限らず、解決されるべき課題を抱える人や企業全てを指す。競合企業の顧客、現時点で無消費状態の人なども当然含めてとらえる。

・まず「重要な課題」は何か、幅広く探索する。解決策の開発・製品開発に取り掛かる前に、課題探索と課題の理解にかなりの時間を費やす。

 

■顧客の課題を見出し、理解する

・シリアルイノベーターは、顧客の課題探索は、他人が集めたデータを使わない。顧客と直接かつ真摯に向き合い、自ら課題を見つけ出す。
・"顧客や製品を知り尽くしている" と思っている人たち(マーケティング部)が集めたデータやまとめたリストは、意味がない。

・一般に "顧客志向" という企業は、既に提供している製品の価値を維持するために、顧客への理解を深めようと努力する。意識の中心は "既存製品" にある。一方でシリアルアントレプレナーの関心は製品になく、課題を理解することにある。意識の中心は "顧客の課題" そのものにある。

・顧客の課題を見出す最初のステップは、課題を抱える人や企業を探すこと。既存製品・サービスの利用者とは違った人、より重要ニーズを持っている人を探す。
・企業の場合はより複雑なものに。自社の営業は、自社製品の既存客は知っているが、残念ながらシリアルイノベーターが話したいと思う顧客とは違う。自社の営業は、おそらく役に立たない。

・課題を抱える人や企業を見つけたら、その人をよく観察して、質問を投げかけて話を引き出す。観察により、その人の困りごとの細かな部分や状況への理解を深めていく。発言に内包される意味を解明しようとする。
・観察は、その人が普段いる場所で行うことにこだわる。顧客の置かれる状況をきちんと理解するには、そうすることが必須。その場所で、課題を「見る」ことで課題をがよりリアルに浮かび上がり、解決したい欲望が高まる。

ヒアリングや観察の際は、聞き手は、思い込みや自分の先入観、自分の勝手な判断や持論などに、囚われないよう、細心の注意を払う必要がある。
(人間は、ゼロベースで人の話を聞くことが困難。自身がどういうバイアスやパラダイムに捉われているか、自身を調査して、具体的に理解しておくと良い)

 

■シリアルイノベーターへのアドバイス

シリアルイノベーターのアドバイス

・シリアルイノベーターの活動は、顧客に始まり、顧客に終わる。行動は全て、顧客が抱える課題の把握と解決を基軸としている。

自分で顧客調査・市場調査をすべき
・顧客の理解は、"自分で" 顧客ニーズについて情報を集めることから生まれる。残念ながら、マーケティング部の情報は同様の効果は期待できない。
(マーケ部は、既存製品を販売するために必要な、顧客や市場・競合の情報を持っている。既存製品では解決できない"非顧客の課題" についての情報をマーケ部は持ち得ない。)

顧客が過ごす場所に赴こう
・顧客が日常的に時間を過ごす場所から学ぶことは多い。その環境で課題どう発生するかという状況を理解できるから。また、解決策の有効性に影響を及ぼす可能性のある、周辺の興味深いポイントも見いだすことができる。
・顧客とその状況を、自身の目で見ることで、課題はより深く理解できる。

問いを立て、傾聴しよう
・顧客に"なぜ"と問いかけ、顧客からより深い話を引き出そう。
・相手に対する思い込みを控えることで、相手の話をきちんと聞くことができ、その情報を適切な文脈に位置付け、課題を根底から深く理解することができる。

顧客の真の理解には時間がかかる
・顧客を理解し、本当に理解し合うには、時間と労力が必要。急いでできるプロセスではない。
・企画を固めようと焦って前に進めば、理解が不十分となり、革新的プロダクトを創り出せる可能性が下がる。
・課題が自分のものとなった時、その課題を解決したいというモチベーションは増大する。

顧客データの力
・顧客データは、社内の人々を説得する強力なツールとなる。顧客データは人々の心をゆり動かし、顧客を味方につけるのは、会社を動かすうえでとても力になる。

製品と関わり続ける
・製品発売した後も、顧客から学ぶことは沢山たくさんある。
・革新的プロダクトは、初代製品ですべてが完全に理解され、実装されることはまずない。顧客の反応やフィードバック、購入データが、将来の製品の方向性を決めるために重要となる。
 

■信頼と尊敬で組織を動かす

この章の内容は、シリアルイノベーターでなくとも、新規事業・非公式な革新プロジェクトを進める際に、一般的に必要とされる社内調整・社内政治力に関するもののため、当まとめでは割愛する。

 

■シリアルイノベーターの特性

・シリアル・イノベーターの出現率は、技術専門スタッフの50人〜200人に1人ほど。超希少人材。

特性①パーソナリティ:
生まれながら備わっている特性のパーソナリティは、2つのグループがある。
1"好奇心","直感","創造力","システム思考"。斬新な技術やプロセスを創造する源となる。決定的な特徴は "システム思考" 。個々の事象に目を奪われず、各要素間の関連性に注目して、全体像を捉えようとする思考傾向が強い。
2"自立心 ","自信","リスクの選択能力","忍耐力"。これらは長期に渡りプロジェクトを続けるうえで重要となる。

特性②パースペクティブ(独特の視点):
ものごとの見方・世界を見る"レンズ"であるパースペクティブには、次のような特徴がある。
・顧客や企業、チームなど関係者全員に共通する価値(共通善)を尊重し、自分自身よりも優先させる。
・関心は顧客にあり、技術は顧客ニーズを満たすための手段、技術はあくまでも事業の成功のための手段と捉える。
・複数の事象の関係性を見出し、システム全体を見通して書き換え、目に見える結果を追求する。

特性③モチベーション:
シリアルイノベーターのモチベーションの源泉は、課題解決への好奇心や技術分野での熟達、発見の喜び、そして新しいものを創造することで人々の暮らしをよくしたいという内発的報酬である。

シリアルイノベーターの独自の視点

 

■パーソナリティ①課題の発見と理解に役立つ特性

●生まれついての好奇心
・シリアルイノベーターは、好奇心が旺盛な関心領域の広さに加え、興味を持つとそこに深く飛び込んでいく並外れた探求力に特徴がある。
・その探求は時に純粋な知的好奇心から始まるが、動機が何であれ、その後彼らの努力は事 業を改善したいという、より強力で抗し難い欲求へと変化を遂げていく。
・シリアルイノベーターが抱いた好奇心は、やがて抑えがたい衝動へと変化し、謎は解明せねばならず、解明したらその新たな知識に基づいて事業を改善しなければならない。

●経験に基づく直感的思考
・シリアルイノベーターは、自身がそのアイデアに対して抱くピンとくる感情や感覚・優れたアイデアや課題への有用なアプローチを感じとる自身のセンスを信じている。
・自身の直感を信じることで、他人やデータがいまひとつと示唆したアイデアでさえ、追求していく。
・技術が十分開発されていない新領域での仕事や、会社の旧来プロセスと異なるクリエイティブなアイデアを提案するときなど、直感的思考は重要スキルとなる。

●多くのアイデアを産み出す創造力
・シリアルイノベーターは、自分が同僚より創造力があると自覚している。
・アイデア創出時、一旦は "実現性の棚上げ" をし、理想的な解決策を "妄想する" ことに専念する。その後で、実行可能な解決策にするためにはどの制約を緩和すればいいのかを判断する。
・彼らは課題に異なる観点からアプローチし、そのフレームワークを変え、課題を再定義する。それにより、非凡な解決策を創造する。
・課題を全く別の角度から捉えることで、パラダイムシフトを起こし、彼らは、他の人と同じデータを見ても、見逃されたパターンを見出す。そのパターンがブレークスルーイノベーションに導く。
・シリアルイノベーターの創造力は、他の人には見えないものを見えるようにし、課題を再構成することを可能にする。

●分散した情報を統合するシステム思考
・好奇心により難しい課題を解決策へと導く「点」を見つけ、システム思考によりそれぞれの点から物事の関係性を導き出し、複雑な状況に意味を持たせることに意識を集中させる。

以上の4つの特性、"好奇心","直感","創造力","システム思考" のが組合せにより、興味深い課題を認識し、状況における全体と構成する要素を理解し、ブレークスルーとなるアイデアを創造できるシリアルアントレプレナー

 

■パーソナリティ②プロジェクトの完遂に役立つ特性

●自分で考え、自分で学び、全体を見通す自立心
・特に自立心は、シリアルイノベーターにとって欠かせない特性。
・彼らは自ら進んで人とは違う考え方をし、組織に挑み、自分のアイデアの完成に向かって突き進む。指示や指導を待つことなく、自ら動くことを選ぶ。
・ブレークスルーには何年もかかることがあるが、その間ずっと個人で行動する。何をすべきか他人に尋ねることはせず、自分で判断を下す。
・シリアルイノベーターは、自分で考え、自分で学び、全体を見通す、自立した精神を持っている。

●自分のアイデアやプロジェクトに対する自信
・この自立心こそ、プロジェクトに対する自信と大きく関係している。ここでいう自信とは、自ら行動し、何を行うかを決め、時には他者が下した決定にさえも挑む自信。
・尊大になることなく、他人の判断に依存し過ぎることなく、自分の進んでいる方向に自信を持っている。

●リスクの選択能力
・たとえ他の人が高リスクだと判断したことでも、自ら検証し、適度なリスクだとわかったら、そのリスクをとる。その判断は、自ら顧客や課題、所属組織の研究と理解を怠らないからこそ下せるもの。
・彼らは、顧客がその製品を求め、必要としているとわかれば、開発に伴う組織上リスクは何とか対処できると考える。

●結果が出るまであきらめない忍耐力
・開発という仕事の性質上、必要となるのが忍耐力。ブレークスルーイノベーションでは、すぐに結果が出ることなどまずありえない。
・そのため長期に渡り忍耐力が試されることに。粘り強く、決意が固く、忍耐力が求められる。

"自立心","自信","リスクの選択能力","忍耐カ"は、革新的プロダクトを市場にもたらすまでの長い間、諦めることなくアイデアに向き合い続けるため欠かせない能力。

 

■モチベーション

シリアルイノベーター モチベーション

・シリアルイノベーターは、多様さや挑戦を求め、深く理解したい欲求が強く、顧客の興味深い課題を解決したい、自らの製品にて顧客の生活を変えたことを見届けたいという、内側から湧き上がるモチベーションがある。

・彼らは、課題が困難なほど駆り立てられる。これまで誰もやったことがないことに取り組みたいと思っている。
・しかしそれと逆に、先が予測できる仕事やルーティンには退屈し、全くと言って良いほど忍耐力がない。

・大きな障害があっても、解決策を見つけるための観察や学び、理解を進め、その結果「発見した喜び」が、彼らをさらに前へと動かしていく。発見を促すのは好奇心である。
・困難な課題と発見の喜び。この2つが彼らを「深い理解の追求」へと向かわせる。ブレークスルー新製品の創造には、課題に完壁に熟達する必要があ理、その完壁な熟達が、生来的なモチベーションに欠かせない要件である。

・彼らは、課題の理解もって役立つ結果を生み出し、課題を解決したいと思うのと同じくらい、会社と社会にインパクトを与えたいと考えている。
・彼らは、開発から販売までの段階に関わり、自らが計画し創造したものが実を結ぶのを自分の目で確認する。製品がつくられ、販売されることは、彼らのアイデアや情熱、創造力、インベーションの証明なのである。

 

■シリアルイノベーターはどこにいるか?

潜在的シリアルイノベーターを特定するには、1人の人に次の重要な5つの特性が全て現れていることを認識する。
①システム思考:異なる分野にある膨大な情報から、無関係に見える点同士を結びつける能力
②平均以上の創造カ(ただし極端に高い水準である必要はない)
③複数の知識分野にまたがる好奇心
④深い専門知識をベースに直感を働かせる力
⑤物事を「よりよくしたい」というモチベーション

・シリアルイノベーターとしての特性を備え、ポテンシャルがある場合、あるいはシリアルイノベーターとして貢献したい強い決意を持っている場合には、それ以外に必要なのは、政治的に会社と渡り合う機会である可能性がある。

 

私見

・シリアルイノベーターは極めて希少で、技術スタッフの50人〜200人に1人ほどしかいない。かなり稀な存在。
・この章で、シリアルイノベーターの育成・採用について書かれているが、技術スタッフの50人〜200人に1人しかいないシリアルイノベーターを特別扱いするのは、日本の成熟企業では非現実的だと思います。。

・個人的には、シリアルイノベーターに拘るのではなく、"研究開発者とチャンピョン(新規事業担当者)の2人1組でタッグ"を組み、新規事業や革新的イノベーションの初期フェーズを担当させるのが、多くの企業で実施できる、現実的な解だと考えます。
【研究開発者が主導する、破壊的技術シーズ起点の場合】
技術研究段階から、新規事業担当者が当該技術が解決しそうな課題を、社内・社外に広く探求しに行く(最初期から、打つ釘を探しに行く)。
【新規事業担当者が主導する、市場や顧客課題起点の場合】
企画初期段階から、具現化のための技術難易度や実現性について、研究開発者とコミュニケーションし相談する(最初期から、どういう金槌なら具現化できそうか、大まかなあたりをつける)。
・社内政治手腕は、研究開発者の上司(R&D部長など)、新規事業担当者の上司(新事業担当執行役員など)が社内調整力を発揮するのが、基本的にはよろしいのでは。

参考:悪化する研究開発投資効率|研究開発と新規事業創出はこうすべき 

 

■才能のマネジメント

シリアルイノベーターのマネジメンt

・シリアルイノベーターをマネージする最良の方法は、「鳥は自由に飛ばせよう」。

・極めて有能なシリアルイノベーターの上司は、シリアルイノベーターの「手錠を外し」、自由を与える。
・シリアルイノベーターを特定し、成熟企業の官僚主義の枠外で、クリエイティブに働ける場所を提供した。制約を最小限にする一方で、課題をより幅広い観点から見るよう求め、先見性を持ち、製品企画として開発できるような新技術を創造し、その製品が顧客の抱える課題を他のどの解決策よりも優れた方法で解決することを求めた。
・ただ完全に放っておくのではなく、彼らと定期的にプロジェクト検討会を開き、進捗状況を把握して、よい状況であればさらなる調査を促した。厳格になり過ぎないようにした。

・シリアルイノベーターから最大の成果を引き出すため、彼を管理業務から解放し、ブレークスルー製品の開発に集中させ、彼を守っている。

・個人間関係に基づいたフレキシブルなマネジメントが良い。彼らは、革新的イノベーションを創造するよう動機づけられている。
・特に、彼らは自分が創造したもので顧客の生活が変わるのを見て、モチベーションを得る。シリアルイノベーターは、顧客の重要な課題を解決したい生来的モチペーションを持っており、課題を解決して顧客が喜ぶのを見たいのだ。
・彼らは、努力に値する課題探索に多くの時間を費やし、その課題を深く理解するのに更に多くの時間を使う。リソースや時間を制約しないよう、また、経営陣がシリアルイノベーターに成果を出せと急かせないよう、注意を払い、彼らを守る必要がある。

・シリアルアントレプレナーではなく、技術開発者として成功した人は、課題を組織から与えられ、チャンピョンや製品開発担当者と組んで活動している。その場合、技術開発者以外の人が顧客の課題と技術的な解決策とのつながりを見出す責任を担い、最終的に利益を創出する新製品につながる道筋を示す。