【製品メーカー 新規事業 事例】壊れない製品・丈夫なモノづくり技術力を活かす新規事業
高品質がウリと言われる、日本メーカーの製品。
ただ、顧客により重視する "高品質の定義" は異なり、また "高品質" なほど値段も高くなる傾向に。
高品質の中でも "壊れない"・"丈夫" を価値とする、製品販売 ではない新規事業を展開する企業もあります。
製造業も "モノづくりからコトづくり" 。事業成長に寄与する製品メーカー 新規事業 事例を紹介します。
■ダイキン工業 レトロフィットシステム
【事業内容】
・レトロフィットシステムは、設置済みビル用マルチエアコンの、圧縮機と制御基盤を高性能品に入れ替えるだけで、故障リスク低減、快適性の向上、年間約15%の省エネを実現するサービス。
・メンテナンスで機器寿命も延び、機種取り換え工事に比べ、費用は5分の1、施工時間も数時間程度に短縮できるのもメリット。
【新事業立ち上げの背景】
・ダイキンは国内の業務用エアコントップ企業。中でもビル用マルチエアコンは、国内稼働中の約180万台のうち半数近くをダイキン製が占める。
・市場が飽和状態になっていく中、突破口を開く手立てとして既設エアコンに目を向けた。
・ビル用エアコンの使用年数は約15〜20年とされ、保守メンテナンスの充実が、他社との差別化のカギを握る。ダイキン製のビル用エアコンの中で、メンテナンス時期の既設機種は85%ほど。
・業界として機器性能が高度化し、製品がコモディティ化している。それを打破する付加価値・差別化が求められていた。
・レトロフィット事業を始めるきっかけは、圧縮機と制御基盤を最新技術に交換することで、より長い期間安心して使えることが、お客様のためになるはずだという、メンテナンス現場を担当するサービス部門からの発想。
・エアコン専業メーカーとして新事業として、新製品の販売だけでなく、既存の製品性能をアップし、長く使っていただく事業が可能なのではと考えるようになった。
【新事業立ち上げの苦労】
・事業企画時、社内の設計・製造・販売・営業の各部門からは否定的な反応が多くあった。「空調の更新が遅れてしまう」「新製品が売れなくなる」「採算の取れる売上確保が難しい」などの意見。
・そもそも、マルチエアコンは一度販売したら、レベルアップできないものと考えられてきた。よって、誰もできると思っていなかった。
・コンセプト・方針が固まってからも、開発現場から「開発リソースが足りない」「既設機器の品質・信頼性の担保ができない」など、シビアな意見が数多く出されまた。
・新事業を企画したサービス部門の現場でも、「これは良いね」という反応と、「お客様が求めているのは省エネだけではない」という反応に分かれていた。
・しかし、我々は既に世に出ている製品の多さに着目した。製品に付加価値をつけることで、他社より優位に立てる。つまり「レトロフィット」は大きなビジネスチャンスになる。
・他のメーカーが手を出さない分野に敢えて挑んだからこそ「レトロフィットシステム」の成功したと思う。
・技術はもちろん大事だが、大切なのはお客様。そこからの発想がなければ、何も進化しない。
ダイキン工業「レトロフィットシステム」|新価値創造PORTAL
空調メンテナンスに新サービス「レトロフィットシステム」
■ホンダ 純正部品のバラ売り でベトナム市場奪還
【事業内容】
・中国製バイクは、品質が悪くすぐ壊れてしまい、修理が必要だった。ホンダはここに目をつけた。
・「純正部品のバラ売り」という新事業にて、中国製バイクの壊れたパーツをホンダの純正部品に徐々に取り換えを促すことで、市場の奪還を試みたの。
・「純正部品のバラ売り」作戦が功を奏して、日本製バイクの壊れにくさが知れ渡り、低価格帯製品の販売も開始することで、2014年には市場が逆転。シェア7割を占めた。
・「純正部品のバラ売り」という、新しいカタチの分割販売で、ベトナムの人たちの潜在的なニーズに応えることができた。
【新事業立ち上げの背景】
・ベトナム市場にて、ホンダは当初、中国製オートバイとシェア争いをしていた。
・しかし2000年頃、ホンダ製イミテーションである、中国産オートバイが大量にベトナムに入りこみ、市場独占するかの勢いで追い上げてきた。
・それにより、ホンダのオートバイは激減し、中国製がシェア80%を占めるまでに。
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